2003 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓への腸内細菌のBacterial translocationについて
Project/Area Number |
15591447
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加藤 高明 日本大学, 医学部, 講師 (40233788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 忠利 日本大学, 医学部, 教授 (30280944)
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Keywords | Bacterial translocation / 敗血症 / 消化器外科 |
Research Abstract |
消化器外科領域において敗血症例はまれではなく、教室における症例では多種の細菌が検出された。過去3年間において敗血症例122例の血液から154の菌株が分離された。このうち、Streptococcus coagulase(-)が最も多く26株(16.9%)、続いてPseudomonas aeruginosa 16株(10.4%)、Escherichia coli 15株(9.7%)、Serratia marcescens 14株(9.1%)であった。敗血症例のうち、Bacterial translocation (BT)によるものは少なくなかった。BTは、術後、抗菌薬投与、出血性ショック、腸閉塞、腹膜炎、膵炎、禁食、熱傷などが発症の危険因子となり、腸管の粘膜バリアーの破綻に伴って発症するといわれている。敗血症例において、明らかな感染巣がなく、血液中に細菌が出現したものをBTと定義すると、検討症例49例中13例(26.5%)にBTが発症していた。7例(53.8%)では手術侵襲が大きく関与し、このうち膵炎発症例1例、肝移植1例が含まれていた。この他、2例(15.4%)はショック発症例(抗菌薬ショック、出血性ショック)であった。3例(23.1%)は化学療法後の白血球数の減少に伴ってBTを発症した。13例において18株が血液にBTされたが、複数菌が分離された症例は4例(30.8%)であった。検出率の高かった菌種はE.coli(4株)、Enterococcus spp.(4株)、Enterobacter cloasae(3株)であり、前述(敗血症症例)の細菌の検出頻度と異なっていた。これらの分離株の抗菌薬耐性状況と使用抗菌薬は予後に関与していた。また、多くの症例において血液のみならず、肝へのBTも示唆された。現在、in vitroでの研究が進められている。
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