2005 Fiscal Year Annual Research Report
幽門保存胃切除後の胃運動能に関する研究-幽門輪からの切離距離による検討-
Project/Area Number |
15591455
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中根 恭司 関西医科大学, 医学部, 教授 (60155778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山道 啓吾 関西医科大学, 医学部, 講師 (70291804)
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Keywords | 幽門保存胃切除術 / 迷走神経 / 胃運動能 / 胃排出能検査 |
Research Abstract |
【目的】迷走神経を温存した幽門保存胃切除術(PPG)後の幽門機能をRI胃排出試験を用いて客観的に評価する。同時にアンケート調査で術後QOLも評価する。 【対象・方法】1993年1月から2005年10月までに、70歳以下の早期胃癌患者に対してPPGを施行し、術後1年目にRI胃排出検査を受けた49例を対象とした。術後状態の評価(愁訴、摂食量、体重など)は問診にて行った。RI胃排出試験は99mTc-DTPA添加粥食(200g)を用いて測定した。胃排出パターンをrapid type(R-type);摂取直後で停滞率が40%以下のもの、delayed type(D-type);60分後でも停滞率が30%以上であるもの、intermediate type(I-type);それ以外のものに分類した。PPGの排出パターンと術後愁訴、食事摂取量、体重変化、内視鏡所見との関係について検討し、QOL評価はGastrointestinal Quality of Life Indexを用いて行った。 【結果】R-typeは0/49(0%)、I-typeは36/49(73.5%)、D-typeは13/49(26.5%)であった。I-typeとD-typeを比較すると、膨満感・嘔気などの術後愁訴は6/36(14%)、7/13(54%)、1回食事摂取量が術前の80%以上摂取できる割合は20/36(56%)、3/13(23%)とI-typeは有意に愁訴は少なく、摂食量は良好であった。内視鏡検査(術後1年目)では、逆流性食道炎はD-typeに多くみられた。幽門輪からの切離距離(1.5と2.5cm)別での比較では、1.5cmの群にD-typeが多く、食事摂取量も不量であった。アンケートによるQOL評価では、Index scoreがI-type 122、D-type 111でI-typeに有意に良好であったが、同時期の早期胃癌に対するB-I群との比較では明らかな差は見られなかった。 【結語】RI胃排出試験は機能温存術式の評価やQOLを予測するのに有用であると思われた。PPG症例の約1/4は術後1年目でも胃排出が遅延していた。幽門輪からの切離距離は重要な要因と考えられるが、更に排出遅延をきたす原因を解明し、合理的な術式の確立が望まれる。
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