2003 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生因子と内皮前駆細胞による生物学的冠血管新生療法の研究
Project/Area Number |
15591480
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川筋 道雄 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40135067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 尚 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (70346980)
國友 隆二 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (30305015)
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Keywords | 血管新生因子 / 塩基性線維芽細胞増殖因子 / 心筋虚血 / 冠血管新生療法 |
Research Abstract |
本研究の目的は血管新生による「生物学的バイパス」を用いた心筋虚血に対する新治療法の開発である。そのため、実験的心筋虚血モデル心で虚血領域へ血管新生因子および血管内皮前駆細胞を投与し、血管新生作用と心機能賦活を評価する。平成15年度には本研究の第一部として、血管新生因子(塩基性線維芽細胞増殖因子、bFGF)の投与による血管新生の質的・量的評価、血管新生因子が心機能賦活をもたらす機序(血流改善、心筋アポトーシス抑制、心筋線維化抑制)の解明、さらに血管新生因子の徐放化の評価を行った。方法として、SDラットを用いて左冠動脈前下行枝を結紮して心筋梗塞モデルを作成し3群に分けた。心筋梗塞および周辺虚血領域の心筋内に、コントロールとして生理食塩水(1群)、bFGF 20μg(2群)、またはゼラチンハイドロゲルによる徐放化bFGF20μg(3群)を注入した。経時的に心臓超音波測定装置を用いて、左室壁厚、左室形態、左室駆出率、局所壁運動を計測した。心筋梗塞後の2、4週に心臓を摘出し、梗塞領域と健常領域の左室壁厚、心筋梗塞範囲を測定して左室再構築(リモデリング)を定量化した。またvon Willebrand因子の免疫染色で血管内皮細胞を同定し、毛細血管・細動脈レベルで血管密度を定量評価した。α-平滑筋actinの免疫染色で血管平滑筋細胞と周皮細胞を同定し血管成熟度を評価した。TUNEL法で心筋アポトーシス発生頻度を解析した。その結果、毛細血管は4週後に2と3群で多く、細動脈は2および4週後に3群で多かった。左室壁厚は3群で保たれ、超音波検査による心機能も3群で良好であった。心筋アポトーシスおよび線維化については評価中である。総括として、bFGFは血管新生を促進し、梗塞後心室再構築過程で心室形態を保持し、心機能を改善させた。またゼラチンハイドロゲルによるbFGFの徐放化は新生血管の成熟化を促進した。第二部では血管内皮前駆細胞等の細胞移植による血管新生作用を評価する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kunitomo R: "Simple method of intraoperative preparation of a stent-graft during operation for distal aortic arch aneurysm"J Thorac Cardiovasc Surg. 125・6. 1535-1537 (2003)
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[Publications] Mori T: "Changes in respiratory condition after thymectomy for patients with myasthenia gravis"Ann Thorac Cardiovasc Surg. 9・2. 93-97 (2003)
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[Publications] Watanabe S: "Methylated DNA-binding domain 1 and methylpurine-DNA glycosylase link transcriptional repression and DNA repair in chromatin"PNAS. 100・22. 12859-12864 (2003)