2003 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤徐放機能を備えたステントの冠動脈再挟窄に対する有効性の評価
Project/Area Number |
15591489
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
吉村 博邦 北里大学, 医学部, 教授 (40050554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
贄 正基 北里大学, 医学部, 講師 (60228137)
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Keywords | 冠動脈狭窄抑制実験 / stent-based Drug Delivery System(DDS) / カルシウム拮抗剤 / アムロジピン / ブタ冠動脈狭窄モデル / SPF / ランドレースポーカイン / 血管内超音波(IVUS) / 内皮細胞 |
Research Abstract |
我々はブタを用い,冠動脈狭窄抑制実験を薬剤の全身投与と,局所投与による薬剤の効果を確認する実験を行うこととした.stent-based Drug Delivery System(DDS)としたディバイスで局所投与を行いその有効性を評価する.今回は,血管内皮機能改善と血管平滑筋細胞の活性抑制に効果のあるといわれているカルシウム拮抗剤アムロジピンを選択し我々の実験モデルに経口投与し効果を確認することとした.【目的】冠動脈ステント留置後再狭窄抑制薬剤評価のため,ブタ冠動脈狭窄モデルを作製しアムロジピンの投与を行いその有効性を評価した.【方法】SPF/ランドレースポーカイン(体重25-30kg)を用いヘパリン投与下に左冠動脈前下行枝にステントを過拡張の状態で留置し狭窄モデルを作製した.コントロール群(n=7)とアムロジピン投与群(n=5)の2群をステント留置後1ヶ月間の飼育を行った.コントロール群には薬剤投与を行わず,アムロジピン投与群にはアムロジピンを0.35mg/kg/dayで投与し,それぞれの留置部血管の評価を行った.ステント留置部の冠動脈径は血管内超音波(IVUS)を用い評価しp<0.05を有意とした. 【結果】 ステント留置時のコントロール群,アムロジピン投与群の留置部の冠動脈平均直径,ステント拡張率,留置直後径には両群に有意差は認めなかった.1M後の狭窄率に関してはコントロール群15.14±6.57%,アムロジピン投与群6.89±2.41%となり有意差を認めた.【結論】 ブタ冠動脈狭窄モデルは,ステント過拡張にて慢性刺激を冠動脈に加えることで人為的冠動脈狭窄を引き起こす.ステント過拡張の慢性刺激にて血管内膜,中膜及び外膜には演習方向のシアーストレスがかかり,内皮細胞,血管平滑筋細胞に活性刺激が加わり血管平滑筋細胞のL型カルシウムチャンネルの活性を引き起こし,静止型から活性型へと変化させ,冠動脈狭窄を引き起こす.カルシウム拮抗薬アムロジピンは,そのチャンネルを抑制することで,活性型平滑筋細胞の出現を抑制し狭窄の発生を抑制すると考えた.アムロジピンにはステント留置後の狭増を抑制できる可能性が示唆された.
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