2003 Fiscal Year Annual Research Report
人工心肺下開心術における体外循環温度が血管内凝固、線溶系亢進に及ぼす影響
Project/Area Number |
15591495
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
橋本 和弘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30172860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長堀 隆一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50271309)
宇野 吉雅 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20256340)
坂本 吉正 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90246405)
奥山 浩 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80214089)
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Keywords | 体外循環 / 人工心肺 / 術後出血 / 線溶系亢進 |
Research Abstract |
平成15年度は常温体外循環および中等度低体温(32度C)下開心術における凝固、線溶系の変化について検討し、術後出血と術中体外循環温度との関係を明白にすることを目的に研究を遂行した。常温体外循環、中等度低体温体外循環ともに、体外循環開始直後より凝固系亢進の指標であるFibrinopeptide Aの有意な上昇を認めた。その上昇は体外循環中、時間経過(大動脈遮断時、45分経過後、大動脈遮断解除時)とともに上昇し、人工心肺終了後のプロタミン投与時に最高値となった。ICU入室時にはFibrinopeptide Aは減少傾向となったにもかかわらず、依然として術前値より有意に高値であった。線溶系亢進の指標であるD-ダイマーをみるとまったく同様の変化を経過観察中に認めた。両群とも術後血小板数、血小板機能においても有意に低下を示した。また、血小板活性化によって放出されるThromboxane A2も両群で有意に上昇した。 しかしながら、両群間において、凝固(血小板機能を含む),線溶系の双方において有意な相違は経過中を通して見られなかった。今回の程度の温度差においては凝固・線溶系の亢進には相違が生じないと判断された。それを裏付けるがごとく、術後出血量においても有意な差異は認めなかった。16年度においてはさらなる低体温循環下での凝固・線溶系の変化を調査する。さらに、体外循環時にヘパリンコーティング回路使用することによって、凝固・線溶系の亢進抑制が理論上認められるはずであり、その事実を証明することと、その結果が術後出血量軽減への具体策となるかを検証する予定である。
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