2004 Fiscal Year Annual Research Report
人工心肺下開心術における体外循環温度が血管内凝固、線溶系亢進に及ぼす影響
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15591495
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Research Institution | JIKEI UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
橋本 和弘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30172860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 吉正 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90246405)
長堀 隆一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50271309)
奥山 浩 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80214089)
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Keywords | 体外循環 / 人工心肺 / systemic inflammatory response / 冠動脈バイパス術 / 心拍動下冠動脈バイパス術 |
Research Abstract |
人工心肺装置は心臓手術に欠くことのできない補助手段であるとはいえ、術後に見られるsystemic inflammatory response (SIRS)の主たる原因であるとされている。従ってSIRSを軽減するという目的において心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)の導入は臨床的に意義がある。今回、我々は一般的SIRS指標に加え、好中球活性(エラスターゼ活性)、補体値、血小板活性(thromboxane A2)、インターロイキン産生(IL6,IL8,TNF-α)、prostacyclin産生、エンドセリン産生、酸化ストレス産生の相違をOPCABとONCAB群において比較検討し、その推移の相違と術後肺・腎機能及び術後経過との関連を検討した。 (結果)一般的なSIRS指標では白血球数のみがONCAB群にて有意に高く、体温は逆にOPCAB群にて術後有意に高値(発熱あり)であった。CRP遊走因子のIL6は手術終了時ONCAB群にて有意に高値であったが、第1病日以降は逆に有意に低値となった。好中球活性化因子(IL8)においては両群間に差が見られなかったものの、エラスターゼ値は手術終了時ONCAB群にて有意に高値であった。その他の指標においては全く両群間に有意差を認めなかった。術後ICUでのPO2(FIO2:1.0)値、挿管時間、ICU stayにおいても両群間に差はみられなかった。術後Creatinine、BUNの推移も同様に差を認めなかった。 (結語)ONCAB群において有意な好中球活性(エラスターゼ上昇)が手術終了時のみに認められたが、その他の因子、経過においてはOPCAB群と差異はなく、SIRSの観点からはOPCABの優位性は証明されなかった。人工心肺の使用はかならずしもSIRSの大きな問題とはならないと思われた。
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