2004 Fiscal Year Annual Research Report
NF‐kBを分子標的にした悪性グリオーマ治療の基礎的研究
Project/Area Number |
15591513
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Research Institution | TOYAMA MEDICAL AND PHARMACEUTICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
栗本 昌紀 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (10161770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 央周 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (50283073)
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Keywords | NF-kB / 悪性グリオーマ / 放射線感受性 / 浸潤能 / 分子標的 |
Research Abstract |
NF-kB活性化が、グリオーマ細胞の悪性化あるいはアストロサイトの腫瘍化と関連しているのかどうか調べるために、非腫瘍化細胞株としてヒト胎児由来アストロサイトを、また腫瘍化細胞として株化悪性グリオーマ細胞(TM-1,U87,U251)を用い、いずれも単相培養した細胞について活性化NF-kB染色を行った。また正常脳組織、grade2、3、4のグリオーマ組織を用いてMib-1と活性化NF-kB染色を行った。その結果、ヒト胎児由来アストロサイトと株化悪性グリオーマ細胞はいずれも活性化NF-kBが強陽性であった。また正常脳組織は、活性化NF-kBが陰性であったが、グリオーマ組織は、grade,Mib-1 indexに関係なくすべて活性化NF-kBが強陽性になった。このことは、NF-kBの活性化が増殖能を有する細胞に生じることを示唆していると考えられた。次に、NF-kB活性化を特異的に阻害するpitavastatinを低濃度で作用させたときの放射線感受性の変化を検討した。その結果、悪性グリオーマ細胞においては、pitavastatin無しの対照群の細胞で放射線照射直後に活性化NF-kBの急増加がimmunoblotで見られた。一方、増殖に影響しない低濃度のpitavastatin処理細胞では、活性化NF-kBの急増が見られず、照射後には高率にapoptosisにより細胞死が促進される現象が観察された。次に、ラット脳切片にEGFP(enhanced green fluorescein protein)発現グリオーマ細胞(U87-GFP)を移植する浸潤モデル実験でpitavastatinの影響を調べた。その結果増殖に影響しない低濃度のpitavastatinを含む培地中およびラット脳切片では、U87-GFPの運動が著しく抑制された。この結果はNF-kBの抑制が悪性グリオーマ細胞の浸潤能をも抑制することを示唆すると考えられた。以上より、悪性グリオーマにおいてNF-kBを分子標的とすることが増殖および浸潤の抑制につながる可能性が示された。
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Research Products
(1 results)