2003 Fiscal Year Annual Research Report
くも膜下出血後の脳血管攣縮ならびに脳虚血に対する防御機構の解明
Project/Area Number |
15591518
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鈴木 秀謙 三重大学, 医学部, 助手 (90345976)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝 和郎 三重大学, 医学部, 教授 (70144368)
松島 聡 三重大学, 医学部, 講師 (50252367)
|
Keywords | くも膜下出血 / 脳血管攣縮 / ヘム代謝 / ヘムオキシゲナーゼ / フェリチン / ビリルビン / 鉄 / 脳脊髄液 |
Research Abstract |
当初の計画通り,ラットのくも膜下出血モデルを作製し,くも膜下出血後の脳,脳動脈および脳脊髄液中の誘導型ヘム蛋白分解酵素であるヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)およびその代謝産物,あるいは遊離鉄と結合し無毒化するフェリチンの誘導とその経時的変化を評価した. ラットのくも膜下出血モデルは全身麻酔をかけたSDラットの右上腕動脈から自家動脈血0.3mlを採取し,それを大槽内に緩徐に注入することにより作成した.対照群として生理食塩水を自家血の代わりに大槽に注入したラットを用いた.血腫または生理食塩水を注入後1日後,2日後,3日後,4日後,6日後にラットを安楽死させ、経心臓的に生理食塩水で循環血液を除いた後、ホルマリンで灌流固定した.脳血管攣縮は組織学的に血腫注入後2日後に最も強く生じることを確認したが,その程度はラットによりかなり異なった.脳脊髄液中のHO-1代謝産物(ビリルビンおよび鉄)およびフェリチン濃度を定量した結果,対照群に比べいずれも有意に高値であった.さらにビリルビンおよびフェリチン濃度が高値で,フェリチンと結合していない遊離鉄が少ない方が脳血管攣縮の程度は軽度であることがあきらかになった.これらの結果は,HO-1やフェリチンの誘導が脳血管攣縮に対する内因性の防御機構であるとする我々の仮説を支持するものであった.くも膜下出血後の脳,脳動脈に対する免疫組織学的検索もおこなっており,興味深い所見が得られつつある.
|
Research Products
(1 results)