2004 Fiscal Year Annual Research Report
重粒子線と血管新生阻止療法を併用した悪性神経膠腫の局所制御に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15591522
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
江原 一雅 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20151996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲村 英二 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30225388)
河村 敦史 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00346256)
杉村 和朗 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00136384)
林 祥剛 神戸大学, 医学部, 教授 (50189669)
佐々木 真人 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80314483)
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Keywords | 脳腫瘍 / 放射線治療 / 重粒子線治療 / 遺伝子治療 / 血管新生 |
Research Abstract |
血管新生のメカニズムが分子レベルで解明されつつあり、我々も4年前から"Anti-angiogenic therapy(血管新生阻止療法)"の臨床応用を目指して、基礎研究を行ってきた。現在までに、VEGFに伴う腫瘍血管新生を抑制すべく、VEGFのアンチセンス療法、VEGF受容体に特異的なチロシンキナーゼ阻害剤(SU5416)、VEGF受容体(Flk-1)のdominant negative mutantなどいくつかのストラテジーを試みてきた。いずれも動物実験では有効な血管新生抑制効果および腫瘍増殖抑制効果を確認し、その結果を誌上および学会にて発表してきた。これらのストラテジーのなかで、VEGFのアンチセンスcDNAウイルスベクター(レトロウイルス)に組み込んで腫瘍細胞内に導入する方法は、腫瘍細胞(特に分裂期細胞)選択的に、恒久的かつ効率的にVEGFの産生を抑え、長期投与のための反復投与も可能である。さらに、従来からいわれてきた導入効率の低さは、低温培養(34℃)と低速遠心による濃縮操作で飛躍的に向上させることが出来た。 血管内皮細胞は遺伝学的に安定で、寿命は約1000日と長い。したがって、血管構築の完成された腫瘍内での既存血管への効果は少なく、この治療法がより効果を発揮するためには既存血管を破壊する他の治療法との併用が必要と思われる。一方、重粒子線治療や、ガンマナイフなどの定位的放射線治療は従来の放射線治療より、抗腫瘍効果が強いことは、私どもの頭蓋咽頭腫に関する治療成績の報告でも明らかになってきているが、悪性神経膠腫においては浸潤性が強く、未だに限界がある。 従って、悪性神経膠腫の治療において私どもが研究成果をあげている血管新生阻止療法と、従来の放射線治療より生物学的効果の高い重粒子線と併用療法が有用と考えられる。
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Research Products
(3 results)