2003 Fiscal Year Annual Research Report
Vanadateによる神経幹細胞誘導を用いた虚血性神経細胞障害治療法の開発
Project/Area Number |
15591534
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森岡 基浩 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (20295140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 豊 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (30322308)
後藤 恵 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (50240916)
濱田 潤一郎 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40253752)
矢野 茂敏 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (60332871)
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Keywords | vanadate / ischemic cell death / neuronal stem cell |
Research Abstract |
vanadateは生体内に微量に存在する遷移元素であり、チロシン脱リン酸化酵素阻害作用を持つことが知られている。一方生体内に数多く存在する成長因子受容体はチロシン残基の自己リン酸化により活性が上昇、保持されることから、vanadate投与は成長因子受容体の自己リン酸化を維持させ、成長因子刺激による細胞の活性化と同等の作用をもたらすことが近年明らかになりつつある。我々はこのvanadateの作用に着目し脳虚血による神経細胞障害の治療を目的として以下のような研究を行った。 1)ラット一過性中大脳動脈閉塞モデルを用い虚血導入後Vanadateを腹腔内投与(50mM,2ml/kg)を行うと梗塞巣が明らかに縮小した。 2)投与時間を検討すると虚血後90分後まで梗塞巣縮小効果が得られ、更に25mMまで減量しても効果が得られることが明らかとなり、更に12.5mMを繰り返し投与する事でも効果が得られることが明らかとなった。 これらの結果から毒性を押さえ、繰り返し投与を行うことが出来ること、その量を明らかにした。 3)ラット一過性中大脳動脈閉塞モデルを用い更に神経幹細胞誘導を目的に 脳虚血誘導後12.5mMのvanadate、生理食塩を一週間投与 虚血後1-2週間に渡りBrdUを投与 4週間後灌流固定を行い免疫染色(BrdU,NeuN)を施行したところ vanadate投与群虚血側にてSubventricular zoneにて明らかにBrdU, NeuNの両者が陽性な神経細胞(神経幹細胞)が増加していた。 3)の結果はVanadateが神経幹細胞の誘導を促進したと考えられる。現在は動物数を増やして統計学的な検討を行っているところである。Vanadateが神経幹細胞を誘導する根拠としては、チロシン残基の脱燐酸化を抑制することから受容体型チロシンキナーゼの活性化を維持することが考えられる。 今後はどのような受容体が関与しているか、培養細胞でも神経細胞への分化を促進するのかを検討する予定である。更に臨床的に使用できるのか、実際に機能的な快復にも結びつくものなのかなどを詳細に検討して行く予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tajiri S, Oyadomari S, Yano S, Morioka M et al.: "Ischemia-induced neuronal cell death is mediated by the endoplasmic reticulum stress pathway involving CHOP"Cell Death Differ.. 11(4). 403-415 (2004)
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[Publications] J Hamada, Kai Y, M Morioka, et al.: "Multimodal treatment of ruptured dissecting aneurysms of the vertebral artery during the acute stage"J Neurosurg.. 99. 960-966 (2003)
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[Publications] Hasegawa Y, Hamada J, Morioka M, et al.: "Neuroprotective effect of postischemic administration of sodium orth ovanadate in rats with transient middle cerebral artery occlusion"J Cereb Blood Flow Metab.. 23. 1040-1051 (2003)
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[Publications] T Hara, J Hamada, S Yano, M Morioka, et al.: "CREB is required for acquisition of ischemic tolerance in gerbil hippocampal CA1 region"J.Neurochem.. 86. 805-814 (2003)
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[Publications] M.Morioka, et al.: "The angiographical dilatation and branch extension of the AchA and P-CoM artery are predictors of hemorrhage in adult moyamoya patients"Stroke. 34. 90-95 (2003)
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[Publications] M.Morioka, et al.: "High-risK age for rebleeding in patients with hemorrhagic moyamoya disease : Long-term follow-up study"Neurosurgery. 52. 1049-1055 (2003)