2004 Fiscal Year Annual Research Report
KIT分子を標的とした中枢神経系胚芽腫の診断と治療法の開発
Project/Area Number |
15591536
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
竹島 秀雄 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70244134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 宏文 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00264416)
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Keywords | Germ cell tumor / Germinoma / Tumor marker / c-kit / s-kit / SCF |
Research Abstract |
胚細胞腫において、卵黄嚢腫瘍や絨毛癌などの悪性腫瘍は、それぞれの腫瘍成分が産生するAFPやHCGなどの特異的蛋白質をマーカーとして診断することで、開頭手術を行い組織確認することなく、化学療法や放射線療法を先行させ、その後にSalvage surgeryにて、良好な予後を得ることができる。一方、良性グループに属するものの、胚芽腫は特異性の高いマーカーが知られていないため、組織確認のための手術を避けることができなかった。 本研究の目的は、中枢神経原発胚細胞腫の中でも最も頻度の高い胚芽腫における、特異的マーカーを同定することで、この治療戦略を胚芽腫に広めることにある。 まず、本研究に先立ち、我々はヒト胚細胞腫瘍において、c-kit分子が発現しており、特に胚芽腫成分において特異的に発現が高いことを見出し、報告していた。さらに、その可溶型分子(膜貫通ドメインで分解されることにより産生される)s-kitが髄液中に存在し、その濃度が組織型や臨床経過に相関することを見出していた。今回、この所見を裏付けるために協力施設に依頼し、髄液中のs-kitレベルを測定し、臨床経過との相関を解析した。すると、大部分の例においてs-kitのレベルが胚芽腫の活動性と良好な相関が見られることが確認された。 また、KIT分子のリガンドであるSCF(stem cell factor)についても、マーカーとなる可能性を検証した。免疫組織化学的には発現細胞は、c-kitとほぼ同じパターンを示した。また、ELISAにより髄液中濃度を測定したが、s-kitより鋭敏で、s-kitが陰性の症例でもSCFは正常レベルより有意に高値を示した。ただ、髄芽腫など胚芽腫以外の腫瘍でも高値を示すため、現時点ではs-kitとSCFを組み合わせることが有用であると考えられた。
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