2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経膠腫と髄膜腫の悪性化におけるCDKN2A-ARF遺伝子失活の意義の解析
Project/Area Number |
15591546
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
安達 淳一 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70291143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 亮 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90237678)
松谷 雅生 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90010454)
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Keywords | glioma / meningioma / p14^<ARF> / CDKN2A |
Research Abstract |
(1)ヌードマウス造腫瘍性を有しARF, CDKN2Aがホモ欠失(HD)しているp53野生型glioma細胞U87とp53変異型のglioma細胞U251へ、その活性がDoxycycline(DOX)の存在によって抑制されるtrans-activator(TA)発現ベクターと、TAにより発現が制御されるARF, CDKN2A発現ベクターを順次導入し、培地からDOXを除去すると外来性のARF及びCDKN2Aが発現するクローンを得た。これらのクローンをDOX内服下のヌードマウスの皮下に移植して腫瘍を形成させた後、DOX内服の有無で目的遺伝子発現のON/OFF調節可能な系を樹立して遺伝子発現がglioma細胞へ及ぼす影響を解析した。その結果、ARF発現後、U87細胞において有意にin vivoでの腫瘍増大が抑制された。一方で、U251では増殖抑制作用は見られなかった。CDKN2A発現により両細胞とも腫瘍の増大抑制が見られた。これによりARF欠失p53野生型glioma細胞の増殖はARFを機能させれば抑制できることが直接的に示された。従って、ARF失活がp53野生型gliomaの発生に関与している可能性が強く考えられた。 (2)ARF遺伝子発現についてウエスタンブロット法、RT-PCR法を用いて解析したところ悪性髄膜腫で有意に高頻度でARF遺伝子発現が消失していた。次に、ARF遺伝子のDNAレベルでの異常について調べたところ、ARF遺伝子発現が消失している腫瘍は全例で、ARF遺伝子が隣接しているCDKN2Aとともにホモ欠失していた。従って、染色体9p21のCDKN2A-ARF遺伝子座一カ所の欠失でARF-P53 pathwayとCDKN2A-RB pathwayの両方が同時に機能不全となり腫瘍細胞がさらに悪性化するものと考えられた。
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