2003 Fiscal Year Annual Research Report
外来遺伝子導入によるシュワン細胞分化制御とこれを用いた人工神経の開発についての研究
Project/Area Number |
15591567
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河村 直洋 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50361473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金沢 輝久 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00361494)
中川 匠 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90338385)
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50282661)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
星地 亜都司 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70236066)
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Keywords | 末梢神経 / 人工神経 / シュワン細胞 / 遺伝子導入 / アデノウィルスベクター / TGF-β / Smadシグナル / 髄鞘形成 |
Research Abstract |
末梢神経損傷の治療において培養シュワン細胞と人工チューブ併用した人工神経が注目されている。我々は人工神経に組み込まれるシュワン細胞に遺伝子導入することで、より高い軸索支持、髄鞘形成能を有する人工神経の開発を目指している。 本年度はシュワン細胞の機能をin vitroで評価するための実験系の確立と、アデノウィルスベクターを用いた遺伝子導入の機能解析を行なった。 1 細胞培養実験系の確立:ラット坐骨神経よりシュワン細胞を分離・初代培養を行なう実験系を確立した。またin vitroにて髄鞘形成を観察するためラット後根神経節からニューロンを分離し、前述のシュワン細胞と共存培養することで髄鞘形成を定量的に評価する系を確立した。 2 シュワン細胞のサイトカインに対する反応:シュワン細胞の分化・増殖に影響すると思われるサイトカインの中で特に組織修復の過程で重要になる炎症性のサイトカインに注目し、シュワン細胞の分化マーカー;MAGを用いその影響を観察した。その結果、TGF-βはシュワン細胞の分化を濃度依存性に抑制したが、その他のIL-1,IFN-γ,TNF-αはシュワン細胞分化に影響を示さなかった。 また、TGF-βの分化抑制効果の細胞内シグナルを明らかにするためTGF-β刺激の下流で細胞内で活性化されるSmad系路の遺伝子をアデノウイルスベクターによってシュワン細胞に導入しその効果を観察した。そしてSmad系路を抑制するSmad7を導入するとTGF-βによる分化抑制の効果がブロックされることが明らかとなった。 以上のことからシュワン細胞の分化に対しTGF-βは抑制的に働き、そのシグナルはSmad系路を介している事が明らかとなった。またシュワン細胞にSmad系路を遮断する機能を持つSmad7を強制発現させることによりTGF-βの抑制効果を逃れることが可能であった。この知見は現在検討されているシュワン細胞を用いた人工神経においてシュワン細胞に対するTGF-βのシグナルをブロックする必要があることを示唆している。
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