2003 Fiscal Year Annual Research Report
インプラント固定に耐え得る新しい生体活性骨セメントの開発
Project/Area Number |
15591574
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川那辺 圭一 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20273451)
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Keywords | 骨セメント / 生体活性 / 酸化チタン / 骨親和性 / 骨伝導能 |
Research Abstract |
これまでポリメチルメタクリレート(PMMA)に生体活性フィラーであるガラスビーズを分散させた骨セメントに関して、優れた生体活性と力学的強度があることを証明し、強度劣化に関しても1年のフォローにおいては殆ど認めないことも明らかにしてきたが、この骨セメントを人工関節の固定に用いる場合には、ガラスビーズに溶解性がある以上、少なくとも5-10年の長期的な経過観察による生体内での材料の安定性を証明する必要がある。一方、近年優れた生体活性を示すことが判ってきた酸化チタンは、生体親和性に優れ、溶解性が無いため、これとPMMAマトリックスを組み合わせることが出来れば、強度劣化しない生体活性骨セメントを作成することが可能と考えられた。そこで、酸化チタンの中でも特に生体活性の高いアナタース型の結晶構造を持つφ200nmの微粒子をPMMAに重量比で50%加えたセメント(T50c)と、シラン処理した微粒子を50%及び60%加えたセメント(ST50c, ST60c)を作成し、その力学的強度および生体内での骨親和性、骨伝導能を調べた。骨親和性、骨伝導能の評価は、ラットの脛骨骨髄内にセメントを埋め込み、周囲の骨との反応をみることにより行った。力学的強度に関しては、酸化チタンを含むいずれのセメントもPMMAに対してやや劣っていたが、骨親和性、骨伝導能に関してはセメント埋め込み後6週、12週の時点において、有意にPMMAより優れており、高い生体活性を持つことが示され、特にST60cは、力学的強度、骨伝導能においてST50cおよびT50cより優れていた。以上の結果から、ST60cよりさらに優れた生体活'性骨セメントの開発を目指して、酸化チタンの粒子¢と、その含有率の異なる骨セメントを作成し、骨伝導能の評価を行う実験を現在進めている。
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