2004 Fiscal Year Annual Research Report
エリスロポエチンはNF‐κB活性化により急性脊髄損傷後の脊髄変性を阻害する
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15591592
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
米 和徳 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40182844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長嶺 智徳 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (10359979)
横内 雅博 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80359976)
小宮 節郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30178371)
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Keywords | 急性脊髄損傷 / アポトーシス / エリスロポエチン / 神経変性 |
Research Abstract |
急性脊髄損傷の薬物治療として、受傷早期のステロイド大量療法が行われているが、二重盲検試験により、その有効性は乏しいと考えられている。その他にも、ナロキサンや興奮性アミノ酸受容体阻害剤の実験動物における有効性が報告されているが、生体への安全性や有効性に問題があり臨床応用されるに至らず、未だ有効な薬物療法は行われていない。本研究では、エリスロポエチンの神経保護作用を明らかにした。マウス培養神経細胞にNMDAを加えると35%の細胞に活性型caspase3が発現しアポトーシスを生じるが、エリスロポエチンを投与するとcaspase3の発現は5%に抑制された。ラット胸髄を重錘を用いて圧迫し、完全横断性脊髄損傷モデルを作成した。このモデルを用いて、損傷15分後、24時間後にエリスロポエチンを腹腔内投与した群と何ら処置を加えなかった群について、活性型caspase3抗体とTUNEL法による染色を損傷6時間後から7日後まで行い、陽性細胞数を比較した。損傷7日後までエリスロポエチン投与群では、活性型caspase3の発現もTUNEL陽性細胞も有意に減少しており、損傷部脊髄細胞のアポトーシスをエリスロポエチンが損傷直後より損傷7日後まで抑制することが明らかになった。エリスロポエチンは赤血球前駆細胞に作用してその生存を維持し、増殖と分化を促進する糖蛋白質であり、生体では腎臓に存在するが、近年、エリスロポエチンが脳および子宮でも生合成され、造血のみならず中枢神経系における神経細胞の保護、子宮における血管形成に重要な役割を持つことが報告されている。エリスロポエチンは、本来、生体内にて生成される物質であり、造血因子として臨床胎療に使用されており、生体における安全性は確立されている。本研究により急性脊髄損傷の治療に大きな進歩がもたらされるものと考える。
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Research Products
(2 results)