2004 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄間葉系幹細胞を用いた血管柄付きハイブリッド人工骨の開発
Project/Area Number |
15591597
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
冨田 恭治 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80237122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三井 宜夫 奈良県立医科大学, 医学部, 名誉教授 (70145845)
矢島 弘嗣 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (20221640)
大串 始 産業技術総合研究所, セルエンジニアリング研究部門・組織・再生工学研究グループ, グループ長 (80213669)
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Keywords | 骨髄間葉系幹細胞 / 血管柄付き骨移植 / 人工骨 |
Research Abstract |
H15年度の研究により、骨髄間葉系幹細胞の足場となる人工骨は、通常の多孔体セラミックスでは気孔同士の連通が少ないために、血管束移植の媒体に適していないことが判明した。そのため、ほぼ全気孔が連痛している東芝セラミックス社製のNEO BONEを用いることで、移植血管から生じた新生血管が人工骨全体を栄養できることが判明し、予備実験を行い血管柄付き培養人工骨の作製に成功した。本年度はさらに統計学検索も行うために個体数を増やし実験を進めた。まずラット大腿骨から採取した骨髄間葉系幹細胞を初期培養した後に30個のNEO BONEに播種し、骨形成培地で骨芽細胞に分化させることで培養人工骨を作製した。次にこの培養人工骨にラット伏在動静脈移植を行い大腿部皮下に留置した。移植2週後に大腿動静脈を血管柄とする血管柄付き培養人工骨を手術顕微鏡下に作製した。この時点で10個の人工骨は摘出し生化学的および組織学的評価を行った。残りの20個はすべてシリコンラバーで人工骨を包むことで周辺からの血管進入を防止し、さらに半数の10個は大腿動静脈も結紮した後、大腿部皮下に再留置した。コントロールとして培養細胞を添加していない10個の人工骨にも血管束移植を行い、血管柄付き培養人工骨作製と同様の手技を行った。移植4週後に30個の人工骨をすべて取り出し生化学的、組織学的評価を行った。生化学的にはアルカリフォスファターゼ活性およびオステオカルシン含量は、血管柄付き培養人工骨群では移植2週後よりも4週後で統計学的に有意に増加しており、また血管茎を結紮した培養人工骨群およびコントロール群よりも有意に高値を示していた。組織学的には血管柄付き培養人工骨群では移植4週後で良好な骨形成が気孔内に確認できたが、血管茎を結紮した培養人工骨群およびコントロール群では骨形成は全く認めなかった。以上の結果より培養人工骨に血管束移植を行うことで、血行不良な部位でも移植血管からの血行により生存が可能である血管柄付き培養人工骨が作製できること実験的に示唆された。
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