2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛における漢方薬の有用性と作用機序に関する研究
Project/Area Number |
15591618
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有田 英子 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (10114357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関山 裕詩 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40301105)
花岡 一雄 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80010403)
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Keywords | ラットCCIモデル / 坐骨神経部分損傷モデル / ラクトフェリン / 修治ブシ末 / 漢方薬 / 熱刺激 / 圧刺激 |
Research Abstract |
ラットCCIモデル(以下CCI、坐骨神経部分損傷モデル)を用いて、以下の2つの研究を行った。 (1)ラクトフェリン(LF)の鎮静作用とその機序 CCI(右後肢)作成10〜14日後、LFをくも膜下腔(it:0,10,100,1000μg/kg)、腹腔内(ip:0,0.5,1,2g/kg)、経口(po:0,2,4g/kg)投与し、機械および熱刺激に対する過敏性の変化をみた。CCIにより生じた両刺激に対する過敏性が、LFのitおよびip投与により、右後肢において用量依存性に抑制された。CCI作成後14日間、LF連日po投与(0,1,2g/kg/day)では、単回投与と同様、過敏性は抑制できず、LFが胃のペプシンで分解されたことによると考えられた。CCI作成10〜14日後、LF(it:100μg)にμオピオイド受容体拮抗薬であるナロキソン(it:100μg)、あるいはLF(ip:1g/kg)にナロキソン(ip:2mg/kg)により、LFの過敏性抑制作用は完全にリバースされた。LF(it:100μg)にκオピオイド受容体拮抗薬であるnor-binaltorphimine(it:100μg)を投与してもLFによる過敏性抑制作用はリバースされなかった。 以上の結果より、LFは、神経因性疼痛に対して鎮痛効果を有し、その作用はμオピオイド受容体を介することが示唆された。 (2)ラクトフェリン(LF)と修治ブシ(PAT)併用による鎮痛作用 CCI作成10〜14日後、それぞれLF(ip:0,0.5,1,2g/kg)あるいはPAT(po:0,0.5,2,3,5g/kg)投与により、CCIにより生じた機械および熱刺激に対する過敏性は用量依存性に抑制された。次いで、CCI作成10〜14日後、PAT(po:0,0.5,2,3,5g/kg)に加えてLF(ip:0.5g/kg)を併用した。単独投与ではPAT5g/kgに相当する過敏性抑制効果のみられないPAT0.5〜3g/kgに、単独では過敏性抑制作用のほとんど認められない少量のLFを併用することで、PAT5g/kg相当の過敏性抑制効果を得た。 以上の結果より、PATにLFを併用することで、神経因性疼痛に対するPATの過敏性抑制作用が増強されることが示唆された。
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