2004 Fiscal Year Annual Research Report
合成サーファクタントの開発と肺胞II型上皮細胞に対する保護作用の検討
Project/Area Number |
15591621
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田代 勝己 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (30242556)
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Keywords | 肺サーファクタント / SP-C / 二酸化炭素 / サイトカイン / 肺胞II型上皮細胞 / ニコチンアミド / 肺虚血再灌流障害 / 肺組織 |
Research Abstract |
(1)合成サーファクタントの開発:前年度にpET80vectorに合成遺伝子を組み込んでSP-C類似蛋白の発現を試みたが収量は極めて少なかった.このため,合成遺伝子を切り出してpQE40に組み込んでDHPPとの融合蛋白として,つぎにpET32aに組み込んでThioredoxingとの融合蛋白として発現を試みた.しかし両者ともに蛋白の発現は認められなかった.合成蛋白の毒性が高いため蛋白を発現しない大腸菌が選抜されることが原因と考えられた.このためSP-C類似蛋白の合成を断念した. (2)高二酸化炭素ガスの肺胞II型上皮細胞保護作用:高二酸化炭素ガス下の肺胞II型上皮細胞の培養はIL-1の刺激による培養液中の炎症性サイトカインの上昇を蛋白レベルで抑制したが,mRNAの量に有意差を認めなかった.高二酸化炭素によるTNFの低下は転写後の変化によるものと考えられた. (3)肺虚血再灌流障害に対するニコチンアミドの効果:肺門部を90分間クランプしたのちに開放して虚血再灌流障害を惹起したラットの動脈血酸素分圧は再灌流後1時間で100mmHg前後であった.一方,ニコチンアミド100mg/kgを投与したラットでは290±80(SD)mmHgに有意に改善した.肺虚血再灌流障害の治療にニコチンアミドが有効と考えられた. (4)サーファクタント阻害による肺組織像の変化の解析:サーファクタントの機能障害がある状態で人工呼吸を行うことにより,小さい肺胞は虚脱し,大きい肺胞には過伸展がおきて肺の組織像が悪化することを発見した.換気量だけで呼吸状態を評価すると肺組織の傷害を見過ごす可能性がある.
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Research Products
(6 results)