2004 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー代謝から見た神経組織の呼吸性アシドーシス耐性獲得メカニズムの解明
Project/Area Number |
15591642
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
北野 敬明 大分大学, 医学部, 助教授 (20211196)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西丸 直子 大分大学, 医学部, 助教授 (60101086)
|
Keywords | 呼吸性アシドーシス / 燐核磁気共鳴法 / 脳スライス |
Research Abstract |
大分大学医学部共同実験施設のNMR装置(Bruker社製AMX300WB)を用い、ラット全脳スライス標本の高エネルギー燐酸スペクトルを長時間(12時間)安定して測定している。 細胞内アシドーシスは虚血後の一病態として重要であり、この病態のメカニズム解明は、脳保護メカニズムの解明に役立つと考えられる。CO_2は細胞膜を容易に通過して重炭酸となり細胞内pHを低下することが知られているため、我々はCO_2分圧(Pco_2)増加時の高エネルギー燐酸動態を検討した。 1)CO_2アシドーシスの脳スライス クレアチン燐酸(PCr)濃度への作用 CO_2は細胞膜を容易に通過して重炭酸となり細胞内pH(pHi)を低下することが知られている。灌流人工髄液内(ACSF)のCO_2分圧を5%から40%まで低下させた場合、細胞外pH(pHo)は7.4から6.7、pHiは7.2から6.6まで低下した。CO_2分圧を増加させるとpHi=6.9(Pco_2=20%)まではPCr濃度は比較的保たれたが、それ以上のpHi低下ではPCrは著明に低下した。 2)CO_2アシドーシス前負荷を行った脳スライスに再度CO_2アシドーシス負荷した際のPCr濃度変化 Pco_2=20,30,40%を1時間前負荷した脳スライスに1時間後、再度同じPco_2を負荷した場合、Pco_2=20,30%(pHi=6,9,6.7)では、PCr低下量は前負荷と再負荷とで差が見られなかったが、Pco_2=40%(pHi=6.6)では、Pco_2前負荷時にはPCrは正常pH時の50%に低下したものが、Pco_2再負荷時には正常pH時の70%と有意にPCr低下が抑制された。 この事から、高炭酸アシドーシス前負荷ラット全脳スライスにおいては、引き続く高炭酸アシドーシス時に高エネルギー燐酸の低下を防ぐメカニズムを獲得した事が示唆された。
|