Research Abstract |
平成15年度 幼若ラットにおける術後痛モデルの作製と痛覚過敏の行動生理学的検討(金谷) 生後1日目(P1)および,14日目(P14)ラットをハロセン(2-3%)麻酔下に,足底に5mmの皮膚,筋膜,筋肉の切開を加え,7-0ナイロン糸で1針縫合した.麻酔からの覚醒させ,切開後,2,4,8時間後の痛覚過敏,アロディニアをvon Freyフィラメントとブラシを切開側1mm外側を刺激し,測定した.本計測を切開後1〜10目まで継続した. P1ラットでは切開後,対側に対し,術後2時間から,8日目まで痛覚過敏およびアロディニアが持続した.P14ラットでは,痛覚過敏とアロディニアは術後2時間から3日目までしか持続しなかった. 脊髄後角ニューロンにおける細胞外記録(川真田) 生後1〜14日(P1〜P14)のラットをウレタン(2.4mg/kg)の腹腔内投与により麻酔した.自発呼吸下に,腰部脊儲(L2〜5)を露出し,固定器に脊柱を固定した.脊髄表面を95%酸素と5%二酸化炭素で飽和したクレブス液で潅流し,第4脊髄後根神経の脊髄入力部に記録用タングステン電極を刺入し,足底部に皮膚受容野を持つ脊髄後角ニューロンの単一活動を導出した.ニューロンのvon Frey,ブラシ,動脈クリップを用いた非侵害性,および侵害性刺激を行い,ニューロンの活動電位応答を記録した.次いで受容野中心の皮膚,皮下,筋膜,筋肉を5mm切開し,7-0ナイロン糸で1針縫合した.切開前,後の自発活動を1時間記録した.1時間後,von Frey,ブラシ,動脈クリップを用いた非侵害性,および侵害性刺激を行い,応答を記録した. 切開により,脊髄wide-dynamic-range(WDR)ニューロンおよびhigh-threshold(HT)ニューロンとも,自発発射が長時間持続した.WDRニューロンは非侵害性,侵害性刺激に対する応答が増強し,特に刺激終了後にも活動電位が持続する,after-discharge現象が非侵害性刺激後にも出現した.また切開後,HTニューロンが非侵害性刺激に応答するようになり,機能的にWDRニューロンに変化するものが見られた.
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