2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591672
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
武藤 智 帝京大学, 医学部, 講師 (30345194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 重郎 帝京大学, 医学部, 教授 (40190243)
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Keywords | 膀胱癌 / 肥満細胞 / TNF |
Research Abstract |
本研究ではヒト膀胱癌における肥満細胞ならびにそこから分泌されるサイトカインの関与のメカニズムを解明することを目的としている。 ヒト膀胱癌における、間質の肥満細胞数をtoluidine blue法にて測定した(/1視野:X400)。正常上皮では1.95±1.28個、膀胱癌grade1では5.58±6.06個、grade2では10.71±5.21個と、悪性度が増すにつれて膀胱癌直下間質の肥満細胞数が有意に増加することが示された(正常上皮VS grade1:P<0.01,正常上皮VS grade2:P<0.0001,grade1 VS grade2:P<0.0001)。また深達度においてはpT1では2.0±1.16個、pT2では7.48±6.22個、pT3では8.44±6.46個とpT1からpT2へ、つまり浸潤癌への移行の過程で肥満細胞数が有意に増加した(正常上皮VS pT1:P=NS,正常上皮VS pT2:P<0.0001,正常上皮VS pT3:P<0.0001,pT1 VS pT2:P<0.05,pT1 VS pT3:P<0.05,pT2 VS pT3:P=NS)。 現在、肥満細胞のより正確な同定のためにanti-chymaseおよびanti-tryptase抗体を用いた肥満細胞の免疫染色を行うとともに、膀胱癌患者の血清を用いてc-kitならびにそのリガンドであるSCFの発現も検討中である。また、肥満細胞から分泌されることが知られているサイトカインの一つにTNFαがある。TNFα遺伝子欠損マウスを用いた発がん実験を施行中である。肥満細胞の集積は膀胱だけではなくヒトの様々な臓器の癌において多数認められることから、膀胱癌のみならずヒトの癌における実験、治療モデルとしても資するものと考える。
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