2004 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌における小胞体ストレス応答遺伝子群の機能解析と癌分子診断への応用
Project/Area Number |
15591684
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清川 岳彦 京都大学, 医学研究科, 助手 (40343230)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (90260611)
賀本 敏行 京都大学, 医学研究科, 助教授 (00281098)
中村 英二郎 京都大学, 医学研究科, 助手 (90293878)
東 新 京都大学, 医学研究科, 助手 (00359803)
高橋 毅 京都大学, 医学研究科, 助手 (30362487)
|
Keywords | 前立腺癌 / アンドロゲン / 小胞体ストレス / NDRG1 / 組織マイクロアレイ |
Research Abstract |
我々はアンドロゲン依存的に発現の制御される小胞体ストレス応答遺伝子のひとつとしてのNDRG1に着目し、NDRG1の発現とアンドロゲンシグナルの関連について研究を行ってきた。NDRG1の詳細な機能はまだ不明ではあるが、生体内においてさまざまな刺激によってその発現が変化をすることが報告されており、多様な機能を持つことが示唆されている。癌細胞との関連においては大腸癌細胞株などを用いた実験で転移抑制機能を有する遺伝子として注目されている。またp53やPTEN(phosphatase and tensin homologue)などの腫瘍抑制機能を持つ遺伝子との関連についての報告も散見される。我々は、前立腺癌の発癌、進行におけるNDRG1の関与を解析する目的で、予後や病理学的パラメータの明白な80例の前立腺全摘除症例標本から組織マイクロアレイを作成した。それを用い、免疫組織科学的にNDRG1の発現解析を行ない、病理組織学的所見との関連、手術後の前立腺特異抗原(PSA)再発との関連について検討を行った。また、アンドロゲン受容体の発現とNDRG1の発現の関連に関しても検討した。病理組織学的所見との関連では、正常前立腺上皮に比べ、前立腺癌上皮においてNDRG1の発現が減少している傾向が認められた。前立腺癌の悪性度を反映するGleason Scoreと間には相関は認められなかった。また前立腺全摘除術後のPSA再発に関してはNDRG1の発現との間に明らかな関連を認めなかった。アンドロゲン受容体の発現とNDRG1の発現との間には正の相関関係が見られ、アンドロゲン受容体の発現が亢進している組織マイクロアレイのスポットにおいてはNDRG1の発現が亢進しているものが多かった。この結果よりNDRG1の発現は前立腺癌組織においてもアンドロゲンシグナルとの関連がある可能性が示唆された。 今後、前立腺癌症例の中でも予後不良なGleason Scoreの高い症例、抗アンドロゲン療法抵抗性となった症例、遠隔転移症例におけるNDRG1の発現についての検討を行う予定である。
|