2004 Fiscal Year Annual Research Report
院内感染症としてのグラム陽性菌性尿路バイオフィルムの病原的意義
Project/Area Number |
15591688
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
狩山 玲子 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40112148)
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Keywords | 院内感染 / バイオフィルム / 尿路感染症 / グラム陽性菌 / 黄色ブドウ球菌 / 腸球菌 / 病原性 / 分子疫学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、尿路に形成された黄色ブドウ球菌ないし腸球菌のバイオフィルムに関して、病原性遺伝子および薬剤耐性遺伝子がもたらす基礎的・臨床的問題点を把握して、院内感染症の諸問題に対処するための方策を検討することである。今年度は、昨年度の研究成果を踏まえて、Enterococcus faecalisを中心とした研究を継続し、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とは異なる性状に関しても検討を行った。 岡山大学泌尿器科で1991年から2002年までの12年間に、複雑性尿路感染症患者より分離されたE.faecalis352株(1症例1株)を対象とした。病原性に関与する遺伝子(asa1,esp, cylA, gelE-sprE)と薬剤耐性遺伝子(aac(6')-aph(2''))の保有状況およびその伝達性を検討した。またバイオフィルム形成能、ヘモリジンおよびゼラチナーゼの産生性についても検討し、臨床的背景との関連性についても検討を加えた。E.faecalis352株のうち315株がasa1もしくはespを保有していた。ヘモリジン産生63株およびゼラチナーゼ産生167株の内、asa1およびesp両遺伝子保有株はそれぞれ59株,94株であった。またasa1およびesp両遺伝子保有株のバイオフィルム形成能は、いずれも保有しない株に比べて有意に高かった(P=0.038)。asa1,cylA, aac(6')-aph(2'')遺伝子は菌株間で伝達されており、これらの遺伝子はasa1およびesp両遺伝子保有株に集積していると考えられた。asa1,espのいずれかを保有する株は、カテーテル留置症例および非留置症例のいずれからも分離されていた。以上より、病原性遺伝子を集積したE.faecalisはバイオフィルム形成能が高く尿路に定着するものと考えられた。
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Research Products
(4 results)