2003 Fiscal Year Annual Research Report
過活動膀胱における神経伝達物質受容体特性の解析と創薬
Project/Area Number |
15591703
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
山田 静雄 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (80106434)
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Keywords | 過活動膀胱 / ムスカリン性受容体 / 脊椎損傷モデル / 前立腺肥大 / ラジオレセプターアッセイ / [3H]NMS / 解離定数 / 最大結合部位数 |
Research Abstract |
本研究は、過活動膀胱における病因を膀胱における神経伝達物質受容体異常の面から検証し、その有効かつ安全な薬物療法を確立することを目的とする。本年度は、過活動膀胱の病態モデルを作成し、その病態の進行に伴う膀胱平滑筋のムスカリン性受容体の性質を調べ、正常ラットの場合と比較した。 1)ラットから膀胱を摘出し、そのホモジネートにおいて、[3H]N-メチルスコポラミン(NMS)を標識リガンドとするラジオレセプターアッセイ法によるムスカリン性受容体測定法を確立し、これより[3H]NMS特異的結合のスキャッチャード解析から、解離定数(Kd)および最大結合部位数(Bmax)を算出した。 2)背椎損傷ラットモデルを作成し、本ラットにおける膀胱内圧曲線を測定したところ、過活動膀胱の徴候である膀胱の不随意収縮波形が観察された。この背椎損傷ラット膀胱重量の有意な増大が認められた。 3)背椎損傷ラット膀胱への[3H]NMS(0.01〜1.5nM)特異的結合を測定したところ、Kd値は対照群と差異がなかったが、Bmax値の有意な増加が認められた。このBmax値の増加は、膀胱機能曲線の不随意収縮曲線波形における振幅と発現頻度(過活動膀胱の程度)と良好に相関した。 4)ヒト前立腺肥大症患者において過活動膀胱症状が認められることから、テストステロン投与による前立腺肥大症モデルラットにおける膀胱ムスカリン性受容体を測定した。テストステロン投与ラットにおいて、膀胱重量は対照ラットより有意に増加した。この膀胱における[3H]NMS特異的結合を測定したところ、Kd値は対照ラットと差異がなかったが、Bmax値の有意な増加が認められた。 以上の結果から、背椎損傷ラットおよび前立肥大ラットの両過活動膀胱モデルにおいて、膀胱ムスカリン性受容体異常が認められた。本結果から、これらの病態における抗コリン薬の有効性が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hisataki, T., Itoh, N., Suzuki, K., Takahasi, A., Yamada, S.et al.: "Modulaltion of phenotype of human prostatic stromal cells by transforming growth factor-betas"The Prostate. 58. 174-182 (2004)