2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト慢性移植腎症の機序解明へのミクロアレイとマイクロダイセクションの応用
Project/Area Number |
15591708
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
内田 潤次 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40343412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲谷 達也 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40183511)
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Keywords | chronic allograft nephropathy / c DNA microarray / laser-capture microdissection / renal transplantation |
Research Abstract |
免疫抑制療法の進歩と腎移植をとりまく医療水準の向上により移植腎生着率は飛躍的に良くなっている。現在は移植腎の長期生着に関する諸問題が議論されているが、移植腎の長期予後に大きな影響を与える病態にchronic allograft nephropathy(CAN)があるが、CANは晩期移植腎機能喪失の原因の50-80%を占めていると報告されている。病理組織学的にCANは血管内皮の肥厚、増殖、尿細管間質の線維化、尿細管萎縮、および糸球体硬化像などの非可逆的な像が特徴的に認められる。CANの病態には免疫学的機序とネフロン数の減少に伴うhyperfiltrationを主体にした非免疫学的機序の関与が示唆されているが、現在まで、CANのメカニズムはほとんど解明されていない。今後、移植腎の長期生着にはCANのメカニズムの解明が不可欠である。CANはヒトの腎移植後に認められるヒトに特徴的な病態であり、現在までにCANの実験動物モデル作製が試みられているが未だ困難な状態である。そのためCANの病態の解明にはヒトの移植腎の標本による研究が必要である。本研究ではまず、ヒトの移植腎生検標本の一部より凍結標本を作成した。このうち慢性移植腎症と病理学的に診断された標本からRNAを抽出し、cDNAミクロアレイに使用し、包括的に遺伝子発現プロフィールを検討した。これらの標本においてTGF-β、endothelin-1の発現亢進が確認できた。さらに現時点ではミクロダイセクションの手技の獲得のために正常ラット腎組織を用いてLaser-capture microdissectionシステム(LM200)を用い、標的組織(近位尿細管、遠位尿細管、糸球体、細動脈、)をフィルムに単離、これらの組織よりRNA抽出を行っている。
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