2004 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頸部腺癌に関わるヒトパピローマウィルスの分子病理学的研究
Project/Area Number |
15591728
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
角田 肇 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (60197754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 裕之 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (40158415)
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Keywords | 子宮頸部腺癌 / ヒトパピローマウィルス / Laser capture microdissection法 |
Research Abstract |
子宮頸部に発生する扁平上皮病変(扁平上皮癌を含む)はその原因としてHPV(Human papillomavirus)が関与していることが明らかにされているが、腺癌においても同様に発癌関与している可能性がある。子宮頸部腺癌におけるHPV陽性率は報告によって30〜90%とばらつきがあり、また腺癌病変の周辺にはしばしば扁平上皮病変を伴うため、これまでの報告が腺癌部の感染の状態を正確に反映しているか、あるいは扁平上皮に感染したHPVを観察しているのかははっきりしない。 本研究ではLaser capture microdissection法により、子宮頸部腺癌部のみのHPV感染を厳密に確認することで、腺癌においても扁平上皮癌と同様にHPV感染が発癌の契機となっているのかを検討した。 子宮頸部腺癌・腺扁平上皮癌の症例62例についてLaser capture microdissection法を用いて腺癌部と扁平上皮部を別に採取し、コンセンサスプライマーを用いたPCR-RFLP法によりHPVのタイピングを行った。腫瘍部のHPV感染の有無を検討すると62例中36例(58.1%)でHPV感染を認めた。内訳は内頚部型40例中20例(50.0%)、腸型1例は陰性、類内膜型17例中14例(82.4%)、その他4例中2例(50.0%)であった。陽性例36例中34例が18型に感染していた(複合感染7例を含む)。一方、扁平上皮部では検討が可能であった29例中24例(82.8%)でHPV陽性、その24例中20例が18型に感染していた。腺癌部と扁平上皮部で異なる型のHPVに感染している症例はなかった。 以上より扁平上皮の混入をなくした頸部腺癌細胞そのものにHPV感染が認められることが明らかとなり、18型感染が優位であることが確認された。また、共存する扁平上皮病変と同一の型のHPV感染であることを証明した。
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