2003 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠中毒症発症における絨毛細胞障害と血液凝固異常の関連に関する研究
Project/Area Number |
15591739
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
杉村 基 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教授 (30273189)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須床 和恵 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (40343199)
金山 尚裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70204550)
|
Keywords | マクロファージ / MIF / フォスフアチジルセリン / アンチセンスMIFアデノウイルス / プロテインC / 胎仔発育遅延モデル |
Research Abstract |
目的」胎盤形成期の胎盤内血栓は妊娠中毒症を惹起すると考えられているが、従来動物実験モデルは存在していない。我々はPhosphatidylcholine(PC)とミセルを形成させPhosphatidylserine(PS)の凝固活性を増強したPS/PC vesicleを作成、妊娠マウスの胎盤形成期に投与し、血圧上昇を惹起する動物モデルの確立が可能か検討した。 方法」動物実験倫理委員会の承認を得た後、妊娠ICRマウスにday-9(D-9)からD-12間で連日PS/PC vesicle(1mg/body)尾静脈より投与した(P群)(N=4)。対照には緩衝液(T群)(N=3)を投与した。収縮期血圧(SBP)は非観血的方法(Softron)により測定した。D-17に麻酔科で採血後子宮を摘出、胎盤を採取した。胎盤はfibrin染色を行った。また、母獣のantithrombin(AT)、thrombin-antithrombin複合体(TAT)、血小板数を測定した。統計学的検定はANOVAおよび、Welch-t testを用いた。 成績」D-5、D-17におけるSBP(mmHg)はP群で115.3±7.7、129.2±9.7、T群では107±3.0、113.1±2.6で妊娠後期に有意に上昇した(P<0.02)。TAT値(ng/ml)はP群で9.0±3.1、T群4.4±1.5と増加、AT値(%)はP群で67±27、T群84±3.3と減少した。P群の胎盤の組織学的検討では、T群と比較して著明なfibrin沈着を認めた。 結論」PS/PC vesicleの妊娠マウス胎盤形成期での投与は胎盤内fibrin形成を促進し、TATの増加、ATの減少という、thrombin形成の増加を促すことが示唆された。さらに血圧の上昇も観察されたことから胎盤内血小板活性化、凝固亢進は妊娠高血圧を発症させる可能性が推察された。
|