2004 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠中毒症発症における絨毛細胞障害と血液凝固異常の関連に関する研究
Project/Area Number |
15591739
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
杉村 基 国立大学法人浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教授 (30273189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 尚裕 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 教授 (70204550)
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Keywords | 妊娠中毒症 / 光誘発胎盤内凝固 / 胎児子宮内発育遅延 |
Research Abstract |
研究状況 平成16年度は妊娠マウスの胎盤形成期に胎盤局所に非侵襲的な緑色光刺激による胎盤内凝固を誘発する新しい基礎的実験動物モデルを確立した。 方法 妊娠ICRマウスの妊娠9.5日(E9.5)に、麻酔下に頚静脈よりカテーテルを留置後開腹。経カテーテル的に色素(Rosebengal)を投与し、xenonランプ(緑色、波長540nm)を双角子宮の片側で血管が子宮に流入する、胎盤付着側の子宮頸部側と卵巣動脈側に15分ずつ照射をA群、両側の子宮頸部側に照射(各15分)をB群、色素のみ投与し照射なしをコントロール(C)群とした。妊娠17.5日に麻酔下に開腹、子宮摘出し胎仔体重、胎盤重量を測定、一部胎盤をホルマリン固定した。統計学的分析はWelch‘s-t検定を行った。 成績 妊娠17.5日に測定した胎仔体重はA群1.04±0.088gram、B群1.065±0.104g、そしてC群1.11±0.098gで、A群B群間に有意差は認められなかった(p;0.916)がC群に対しA群p<0.0001、B群p<0.005で有意差を認めた。胎盤重量はA群0.108±0.016gram、B群0.105±0.020g、そしてC群0.115±0.017gでB群C群間に有意差を認めた(p<0.001)が他群間に有意差を認めなかった。胎盤の組織学的検討では照射部位近傍と対側の胎盤に著変を認めなかった。 結論 胎盤形成期の胎盤局所に凝固刺激が加わると、胎盤内血栓形成とともに慢性的な胎仔胎盤還流不全を来たすことが推察された。上記モデルは胎盤絨毛に光刺激で障害を惹起させ、胎盤内凝固を誘発する新しい胎児子宮内発育遅延実験モデルであり、その母獣への影響を検討することで妊娠中毒症の病態解明に有用と考えられた。
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