2005 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠中毒症発症における絨毛細胞障害と血液凝固異常の関連に関する研究
Project/Area Number |
15591739
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
杉村 基 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教授 (30273189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 尚裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70204550)
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Keywords | 妊娠高血圧症 / VEGF / phosphatidylserine / 胎盤内血栓 |
Research Abstract |
研究状況 平成17年度は妊娠中毒症(妊娠高血圧症)発症に関るふたつの基礎的動物実験モデルを確立したとともに、同モデルが発症に関ることを示した。すなわちphosphatidylserine/phosphatidylchorine(PS/PC)微小胞、およびvascular endogenous growth factor(VEGF)が妊娠高血圧症様の症候を妊娠マウスにおいて惹起しえたというもので、これらPS/PCならびにVEGFが病態形成に関与しているといえる。 方法 1)妊娠ICRマウスの妊娠5.5日から16.5日に尾静脈よりPS/PC微小胞(1mg/日)を投与(A群)、コントロールには生理食塩水を投与し(C群)経時的に血圧を測定した。妊娠17.5日に麻酔下に屠殺し、血清中アンチトロンビン、TATを測定した。また一部胎盤をホルマリン固定し組織学的検討を行った。 2)妊娠ICRマウスの妊娠5.5日から16.5日に尾静脈よりrecombinant murine VEGF(10ng/日)を投与(A群)、コントロールには生理食塩水を投与し(C群)、経時的に血圧を測定した。同時に抗VEGF中和抗体(25μg)投与もおこなった(B群)。妊娠17.5日に麻酔下に屠殺し、血清中アンチトロンビン、TATを測定し、一部胎盤をホルマリン固定し組織学的検討を行った。統計学的分析はWelch‘s-t検定を行った。 成績 1)A群はC群と比較して平均血圧、TATの有意な上昇、アンチトロンビン、血小板数の有意な低下を認めた。胎盤の組織学的検討においてもA群はC群と比較して迷路層での広範なフィブリン沈着を認めた。 2)A群はC群と比較して平均血圧、TATの有意な上昇、アンチトロンビン、血小板数の有意な低下を認めた。またB群ではA群と比較して平均血圧の有意な上昇は認められなかった。胎盤の組織学的検討においてもA群はC群と比較して迷路層での広範なフィブリン沈着を認めたが、B群ではフィブリン沈着が抑制されていた。 結論 PS/PCは血小板の活性化により放出されprocoagulantな場を提供する因子である。またVEGFは妊娠高血圧症患者血中での増加が認められる血管新生因子のひとつである。過凝固状態を惹起するPS/PCや血管新生を増強する因子が妊娠高血圧症候群様の症候を妊娠マウスで引き起こしたことによりこれら因子が病態形成に中心的役割を担っていることが示唆され、今後同モデルを用い病態の制御から発症防止の解明が行われうると考える。
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Research Products
(3 results)