2006 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣・子宮内膜における血管新生の促進因子および抑制因子の産生調節に関する研究
Project/Area Number |
15591766
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
河野 康志 大分大学, 医学部, 講師 (40274758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楢原 久司 大分大学, 医学部, 教授 (60211447)
福田 淳一郎 大分大学, 医学部, 助手 (20381048)
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Keywords | 卵胞液 / 顆粒膜細胞 / 子宮内膜 / 血管新生 |
Research Abstract |
顆粒膜細胞の機能は種々のホルモン、サイトカインおよび成長因子により調節されている。肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor ; HGF)、線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor ; bFGF)および血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor ; VEGF)は血管新生促進因子として知られており、近年、卵巣においてもそれらの存在が報告され、卵胞発育や黄体形成に関与すると考えられている。今回は卵胞液中に存在する血管新生因子の役割を明らかにするため、HGF、bFGFおよびVEGFを測定し、卵胞液の血管新生能について検討した。 卵管因子による不妊治療患者を対象とし、体外受精・胚移植時に各々の卵胞から卵胞液を採取し凍結保存した。正常月経周期の女性より血液を採取し、血清を凍結保存しました。卵胞液のHGF、bFGFおよびVEGFはELISA法(R&D Systems)で測定した。 血管内皮細胞にVEGFまたは各濃度の卵胞液を添加して10日間培養したのち、抗ヒトCD31抗体で血管内皮細胞を染色して血管の管腔形成能を検討し、さらにChalkley count法(Fox et al., 1995)を用いて形成された血管を定量化した。ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)に卵胞液、HGFまたはVEGFを添加し、mitogen-activated protein (MAP) kinaseのphosphorylationについて検討した。 HGF、basic FGFおよびVEGFは血清と比較して有意に高い濃度で卵胞液中に存在していた。血管内皮細胞に対して卵胞液の添加し新生血管の形成能を検討した結果ではVEGFの添加ではコントロールと比較して著明な血管形成能を認めた。卵胞液の添加でもコントロールと比較して血管形成能を認めた。 次に、HUVECを用いて5検体の50%卵胞液を添加しMAP kinaseの活性化を検討したところ、VEGFの添加時と同様にMAP kinaseのリン酸化が亢進した。HGF添加でも同様の結果が得られた。 以上の結果から、卵胞液中の血管新生促進因子が、卵胞発育や黄体形成に向けての血管新生に関与する可能性が示唆された。 これらの結果は、現在、論文に投稿中である。
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