2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトパピローマウイルスE2蛋白質の機能解析に基づく抗ウイルス剤開発の基礎的な検討
Project/Area Number |
15591779
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤井 多久磨 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10218969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚崎 克己 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (40118972)
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Keywords | ペプチド / パピローマウイルス / 転写 / 複製 / 核移行シグナル |
Research Abstract |
HPVのE2蛋白質はE1蛋白質との共同でウイルス遺伝子複製に作用していることが知られている。そこで、HPV16型の遺伝子複製開始地点とE1,E2蛋白質が結合する部位を含む遺伝子(P16oriM)とHPV16のE1およびE2発現ベクターを同時に細胞内にトランスフェクションすることにより、P16oriMが細胞内で増加することを検出する系を開発した。次にこの系を用いて、我々が見出したE2蛋白質に結合するペプチドがウイルス複製能に対し阻害効果を認めるか否かを検討した。最初に、発現ベクターE1を5μg,E2を100ngと固定し、P16oriMの量を変化させ、E1,E2存在下ではP16oriM5μgがE1,E2の影響を受けてウイルス遺伝子が効率よく複製することがわかった。この条件下でE2蛋白質に結合するペプチドを添加して上記の実験を行なったが、ウイルス遺伝子の複製阻害が認められなかった。 一方、我々の見出したE2蛋白質に結合するペプチドのアミノ酸配列をもとに塩基配列を逆翻訳し、その塩基配列を発現ベクターに組み込み、細胞内でペプチドを強制発現させE2蛋白質の転写活性阻害効果を解析したが、効率よくE2蛋白質の転写活性を抑制する塩基配列はいまのところ、みいだせていない。この理由としては、我々が作成した発現ベクターでは細胞内で有効なペプチドが実際には強制発現されていないことが予想された。以上より、我々の見出したペプチドはE2蛋白質に結合し、その転写活性を抑制するものの、ウイルス遺伝子複製能には影響を及ぼさないことがわかった。さらに、このペプチド配列を効率よく細胞内で強制発現する方法がないことから、ペプチドもしくはそのペプチド構造合成化合物を細胞内に導入する方法が重要であることがわかった。
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Research Products
(6 results)