2003 Fiscal Year Annual Research Report
カリクレイン―キニン系の妊娠維持における役割と、その破綻と流産に関する研究
Project/Area Number |
15591780
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
杉 俊隆 東海大学, 医学部, 講師 (70196707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井面 昭文 東海大学, 医学部, 助手 (70338713)
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Keywords | 第XII因子 / キニノーゲン / カリクレイン / プラジキニン / 不育症 / 習慣流産 / 血栓症 |
Research Abstract |
最近第XII因子欠乏と反復流産、血栓症との関係が注目されている。第XII因子はキニノーゲン、プレカリクレインと同様、カリクレイン-キニン系の蛋白であり、utero-placental unitに存在して血液凝固線溶系や妊娠維持に重要な役割を果たしていることが最近になって明らかになってきた。我々は既に、不育症患者において第XII因子欠乏症が高頻度に存在する事、さらには不育症患者における第XIIに対する自己抗体の存在を報告した。今回我々は、不育症者について第XII因子に対する自己抗体の陽性頻度を検討した。 当院不育症外来の患者に対して、インフォームドコンセントのもとで第XII因子の活性を第XII因子欠損患者血漿を用いたaPTTにより測定した。さらに、既に確立したELISAにより患者血清中の抗第XII因子抗体を測定した。 第XII因子欠乏不育症患者43人中,23人(53.5%)が抗第VII因子抗体陽性(p<0.001、オッズ比36.8)、第XII因子活性正常不育症患者40人中では、10人(25.0%)が陽性であり(p=0.02、オッズ比10.7)、それぞれ正常対照群(33人中1人陽性)と比較して統計学的に有意に頻度が高かった。また、不育症患者において抗第XII因子抗体の存在と第XII因子欠乏の関係は、統計学的に有意であった(p-0.008、オッズ比3.45)。興味深い事に、多くの抗第XII因子抗体はintactの第XII因子ではなく、活性化第XII因子を認識した。 結論として、第XII因子に対する自己抗体が不育症患者の第XII活性を低下させており、不育症のrisk factorである可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 杉 俊隆: "自己抗体を介したカリクレイン-キニン系の破綻と不育症"医学のあゆみ. 204. 1031-1035 (2003)
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[Publications] 杉 俊隆, 牧野恒久: "抗リン脂質抗体症候群"産婦人科の実際. 52. 731-739 (2003)
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[Publications] 杉 俊隆, 牧野恒久: "抗リン脂質抗体"臨床婦人科産科. 57. 1043-1045 (2003)
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[Publications] Sugi T, McIntyre JA: "Antiphospholipid antibodies(APA)and recurrent pregnancy loss : treating a unique APA positive population."Human Reproduction. 18. 1553-1554 (2003)
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[Publications] 杉 俊隆, 牧野恒久: "不育症、抗リン脂質抗体症候群。-ヘパリン、アスピリン療法は有効か-"産婦人科の実際. 52. 1769-1774 (2003)
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[Publications] Arai T, Matsubayashi H, Sugi T, et al.: "Anti-annexin A5 antibodies in reproductive failure in relation to antiphospholipid and phosphatidylserine."Am J Reprod Immunol. 50. 202-208 (2003)