2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトレニン・アンギオテンシノーゲン遺伝子導入マウスを用いた妊娠中毒症の病態解析
Project/Area Number |
15591790
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
御船 弘治 久留米大学, 医学部, 講師 (70174117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永山 祥代 久留米大学, 医学部, 助手 (20309834)
野々下 晃子 久留米大学, 医学部, 助手 (00309832)
堀 大蔵 久留米大学, 医学部, 助教授 (80157049)
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Keywords | ヒトレニン遺伝子導入マウス / ヒトアンギオテンシノーゲン遺伝子導入マウス / 妊娠中毒症モデル動物 / 妊娠高血圧 / レニン-アンギオテンシン系 |
Research Abstract |
本研究課題はヒトレニン及びアンギオテンシノーゲン遺伝子を導入したトランスジェニック動物を用い,妊娠期のみに高血圧を発症するモデル動物を作成し,本モデル動物の胎児-胎盤-母体間のレニン-アンギオテンシン(RAS)系と他の血管作動性物質との相互作用を明確にし,妊娠中毒症における高血圧の発症機序を胎児側から理解することを目的とし,平成15年度は本モデル動物の妊娠中毒症モデルとしての一般病態(血圧,胎仔・胎盤・母体の病理所見及び血液生化学的性状)を明らかにした。(1)モデル動物作成;ヒトアンギオテンシノーゲン(hANG)遺伝子導入マウス(♀)とヒトレニン(hRN)遺伝子導入マウス(♂)とを交配させ,妊娠期のみに高血圧を呈す妊娠中毒症(PIH)モデル動物を作成し,妊娠18日目に一般病態検索用のサンプルを採取した。対象群としてhANG遺伝子導入マウスの雌雄を交配させた妊娠雌マウスを用いた。(2)収縮期血圧;PIHモデル動物の血圧値は妊娠前では正常値であったが,妊娠13日目から徐々に上昇し,妊娠末期(妊娠18日目)で161.6±10.6mmHgを示し,分娩後は速やかに正常値に戻った。対象群の妊娠マウスの血圧は,妊娠期間中いずれも正常値であった。(3)母体心臓・腎臓,胎盤,胎仔;PIHモデル動物の母体心臓,胎盤重量は対象群に比べ差はなかったが,母体腎重量及び胎仔重量は有意に小さかった。病理組織学的にはPIHモデル動物の母体腎臓で,時として細胞浸潤,尿細管の変性を伴う尿細管間質性病変が限局性にみられたが,母体心臓及び胎盤に病理組織学的変化は認められなかった。(4)血液生化学的検索;PIHモデル動物では対象群に比べ,血清尿素窒素及び総蛋白値が有意に高かった。以上の結果から,本モデル動物において母体-胎仔・胎盤間でのRAS系により妊娠末期に高血圧が惹起され,ヒトの妊娠中毒症に類似した病態が認められた。
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