2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトレニン・アンギオテンシノーゲン遺伝子導入マウスを用いた妊娠中毒症の病態解析
Project/Area Number |
15591790
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
御船 弘治 久留米大学, 医学部, 講師 (70174117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 大蔵 久留米大学, 医学部, 助教授 (80157049)
野々下 晃子 久留米大学, 医学部, 助手 (00309832)
北田 雅恵 久留米大学, 医学部, 助手 (90341354)
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Keywords | ヒトレニン遺伝子導入マウス / ヒトアンギオテンシノーゲン遺伝子導入マウス / 妊娠高血圧症候群モデル動物 / レニン-アンギオテンシン系 / ACE阻害剤 / アンギオテンシン受容体拮抗剤 / 塩酸ヒドララジン / 塩酸ニカルジピン |
Research Abstract |
本研究課題はヒトレニン(h-Ren)及びアンギオテンシノーゲン遺伝子導入マウスを用い妊娠期のみに高血圧を発症するモデル動物を作成し,妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群;PIH)における高血圧の発症機序にて胎児-胎盤-母体間のレニン-アンギオテンシン(RA)系の作用を胎児側から理解することを目的とし,平成15,16年度にて,本モデル動物において胎盤組織内でのRA系の特異的発現により妊娠末期に高血圧が惹起されることが示唆された。本年度は,種々の血圧降下剤が本モデル動物の妊娠高血圧症の発症機序にどのような影響を及ぼすかを明らかにするために,本モデル動物の妊娠中期からRA系阻害剤であるACE阻害剤(Q)及びアンギオテンシン(AT)受容体拮抗剤(C),さらに塩酸ヒドララジン(H),塩酸ニカルジピン(N)などを一日一回経口投与し,各薬剤投与後妊娠18日目における本モデル動物の血圧,胎仔・胎盤重量ならびにRA系動態を検索した。尚,非投与群として0.5%メチルセルロース投与後の同モデル妊娠雌マウスを,対照群としてC57BL/6J雌雄を交配させた妊娠雌マウスを用いた。(1)収縮期血圧;N投与及び非投与群ではPIHモデルと同様に妊娠中期から徐々に上昇し,妊娠末期で高血圧症を呈したが,他の薬物では投与期間中正常値に改善された。(2)胎盤・胎仔重量;降圧剤投与群の胎盤重量は非投与及び対照群に比べ差はなかったが,胎仔重量は非投与,N投与群<H投与群<RA系阻害剤投与群<対照群の順に有意に大きかった。(3)RA系動態;血漿中及び胎盤内h-Renは投与群,非投与群共に高濃度であったが,対照群では検出されなかった。血漿及び胎盤内ATII濃度はC, H及びN投与群ではQ投与群及び対照群に比べ有意に上昇していた。以上の結果から,本モデル動物のPIH病態改善にRA系阻害剤は有効であることが示唆された。
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