2004 Fiscal Year Annual Research Report
内耳におけるムスカリン受容体各サブタイプの役割についての基礎的研究
Project/Area Number |
15591798
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 健 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50251286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 真一 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10359606)
松井 稔 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50282611)
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Keywords | ムスカリン受容体 / サブタイプ / ノックアウトマウス / パッチクランプ / 聴性脳幹反応(ABR) / 内耳単離細胞 / ラセン神経節 |
Research Abstract |
本年度は、昨年行った研究のセットアップの上に、in vivo実験を開始し、また、in vitro実験を開始直前まで準備することができた。昨年立てた方針に基づき、まずはムスカリン受容体のノックアウトマウスをm3受容体に限った。In vivoにおいては、聴性脳幹反応を用いてノックアウトマウスおよびそのワイルドタイプマウスの聴覚閾値を3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月と追跡評価した。m3ノックアウトマウスの純音聴覚閾値は、3ヶ月においてはワイルドタイプと相違を認めなかったが、6ヶ月では有意な聴覚閾値上昇を認めた。さらに、12ヶ月では聴覚閾値の差はより明瞭となり、特に低音部において著明であった。この結果から、加齢による難聴の進行がm3ノックアウトマウスにおいてより強く現れると結論付けた。内耳の組織学的検討においては、m3ノックアウトマウスにおいて、外有毛細胞の傷害が強く現れているものの、内有毛細胞・血管条・ラセン神経節には大きな変化が起こっていないことが示された。In vitroにおいては、昨年モルモットを用いて確立したパッチクランプシステムを用いて、マウスのラセン神経節細胞の実験を可能とする条件を試行錯誤にて検討した。まず、より容易と考えられる生後間もないラットを用いて検討した。その結果、パッチピペットの形・太さ・および電気抵抗に問題があったことが判明し、これらを解決することによりラットの細胞はパッチクランプできるようになった。最終目標のマウスにおいても、これと同様な方法により、成功率としては劣る(10回に1回程度の成功)ものの、可能となった。最適と考えられたパラメータは:単離手法としてトリプシン0.1mg/mlを室温下で15〜30分の作用後、黄色のマイクロピペット先を用いた機械的分離を行い、抵抗4〜5メガオームの細いパッチピペットを用いることである。今後本格的in vivo実験を行うことが可能となった。
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Research Products
(2 results)