2004 Fiscal Year Annual Research Report
嗅細胞への分化に関与する因子のヒト嗅上皮での発現と培養嗅細胞に及ぼす影響
Project/Area Number |
15591801
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
三輪 高喜 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (20229909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦本 直紀 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (30359715)
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Keywords | 嗅細胞 / 成長因子 / 組織培養 / 嗅上皮生検 |
Research Abstract |
ヒト鼻粘膜から組織採取を行い嗅細胞の培養を試みたが,培養系の確立までには至らなかった。その理由として以下の点が考えられる。ヒトの嗅上皮は鼻腔の深部にあり,採取するスペースが非常に狭い上に,嗅粘膜の面積も小さい。そのため,生検用の鉗子を考案し作製した。その鉗子を用いて組織採取を行ったが,得られる組織は非常に小さく,中には嗅細胞が存在しないものもあった。これは採取を行った対象が,嗅覚障害を抱える比較的高い年齢層であったためとも思われる。また,嗅細胞が含まれる標本においても,嗅細胞のほかに,支持細胞,基底細胞などの上皮内の他種細胞のほか,上皮下のさまざまな組織が含まれるため,嗅細胞の分離培養までに至らなかったものと思われる。一方で,今回の研究により嗅粘膜を明視下におき組織を採取する必要性から,副鼻腔炎による嗅覚障害に対する新たな手術法が生まれ,治療成績の向上につながった。中鼻甲介開窓法と名づけており,中鼻道から嗅裂を容易に観察可能にし,嗅覚を改善させるとともに組織採取も容易とすることが可能になった。今後はさらなる症例の蓄積を行い,確実に嗅細胞を採取する技術の向上が必要と思われる。また,培養系の確立には,嗅細胞を確実に採取できる動物を用いた研究も有用と思われた。
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