2004 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤による半規管クプラの障害と再生に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15591833
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 衞 東京医科大学, 医学部, 教授 (80116607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 久美子 東京医科大学, 医学部, 講師 (00201848)
萩原 晃 東京医科大学, 医学部, 助手 (60297314)
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Keywords | クプラ / ゲンタマイシン / 発作性頭位めまい症 / 膨大部 / 半規管 / 感覚細胞 |
Research Abstract |
クプラの形態が変化すると、たとえ感覚細胞には障害がなくても感覚細胞への物理的刺激が大きく変化することになるので、何らかのめまいを起こす可能性がある。そこで今回は、アミノ配糖体系抗生物質の投与によりクプラ自体の形態がどのように変化するかを検討した。ウシガエル迷路内に300μgのゲンタマイシンを緩徐に注入した。2週後に内耳を摘出し、クプラの形態を観察した。ゲンタマイシン注入側ではクプラは萎縮し、その高さは正常の約半分となっていた。また、外側が縮小し左右非対称となったクプラもあった。動物はクプラ障害側への傾斜姿勢をしめした。末梢性めまいの原因についてはこれまで前庭感覚細胞や神経の変化を中心に検討されてきた。しかしながら、クプラ自体の形態的変化はこれまで検討されてこなかった。これはクプラ自体が脆弱で種々の薬品や機械的操作によって変化し、観察が困難なことによる。今回の結果から、ゲンタマイシンによりクプラの形態は障害され縮小することが判明した。このようなクプラが縮小した所見はこれまで報告されていない。クプラが縮小し、クプラ頂点と膨大部壁との間に間隙ができるとクプラの可動性が増し、わずかの頭位の変化や内耳への機械的刺激でめまいが起こる可能性がある。良性発作性頭位性めまい症は一般に予後良好とされているが、稀に難治例があり、半規管遮断術が無効の例さえ存在する。クプラと膨大部壁間に間隙があれば半規管遮断術が無効となることも推察される。頭位性めまいの原因の一つとしてクプラ自体の形態的変化の存在することが判明した。
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