2003 Fiscal Year Annual Research Report
半規管内リンパ液Ca^<2+>およびpHのホメオスタシス
Project/Area Number |
15591838
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
荒木 倫利 大阪医科大学, 医学部, 助手 (20340557)
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Keywords | 内リンパ液カルシウム濃度 / 内リンパ液pH / 半規管 / イオン電極法 |
Research Abstract |
ヒトにおいて半規管内で結石などの浮遊物が生じることにより典型的な良性発作性頭位性めまいが発症することが臨床的には明らかとなっている。しかし半規管内には解剖学的には耳石を産生する細胞はなく、半規管内の病的浮遊物は耳石器からの耳石の迷入によるとされている。良性発作性頭位性めまいの自然治癒傾向を考えると耳石の迷入であれ、半規管内で浮遊物が析出するのであれ、結石の主体と考えられる炭酸カルシウムの半規管内での代謝を明らかにする必要がある。内リンパ液はたんぱく質が少ないため、主な緩衝系として炭酸ガス、重炭酸イオン系が働いていることは疑う余地がない。一方、耳石の組成は炭酸カルシウムであることが知られ、その溶解度はpHと密接に結びついているものと考えられる 以上の視点で実験を進めており,初年度はイオン電極法を用いた半規管内リンパのpHとCaの測定法の確立のため測定手技の改良を行い,in vivoでの安定した結果を得るための基礎的検討を行っている。半規管の内リンパも正の電位を持つことが知られておりこれを指標に内リンパ内腔に電極を刺入してイオン濃度を測定することを試みている。蝸牛については腹側から中耳骨包を開放して経血管条的に測定してきたが,前庭に対しては外側からアプローチのうえで骨迷路を削開し半規管内リンパへ電極を刺入する方法をとっている。従来の報告では耳石器内リンパは蝸牛よりもカルシウム濃度が高く,pHは細胞外液よりもややアルカリと報告されており,半規管のこれらの値も興味のもたれるところである。
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