2003 Fiscal Year Annual Research Report
Smad依存性の上皮・間葉系移行の抑制による増殖性硝子体網膜症の治療法の開発
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15591871
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
雑賀 司珠也 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40254544)
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Keywords | トランスフォーミング成長因子ベータ / 増殖硝子体網膜症 / 網膜色素上皮細胞 / 上皮-間葉系移行 / Smad / シグナル伝達 / ノックアウトマウス / 細胞培養 |
Research Abstract |
本年度は、Smadシグナルの阻害が増殖硝子体網膜症の予防・治療上有効であるか否かを検討する目的で、(1)培養網膜色素上皮細胞を用いたトランスフォーミング成長因子ベータ2(TGFβ2)の役割の検討、および(2)Smad3シグナル欠損マウス(Smad3ノックアウトマウス)を用いて、実験的網膜剥離作成後の網膜色素上皮細胞の上皮-間葉系移行の状態を検討した。(1)細胞はヒト由来培養網膜色素上皮細胞株であるARPE-19を用いたTGFβ2添伽はSmad2βシグナルを活性化すると同時に上皮-間葉系移行を促進し、アルファ平滑筋アクチンの発現を増強させた。また、platelet-derived growth factor (PDGF)の発現増強を介して、TGFβ2による増殖抑制をcounteractした。TGFβ1の発現も増強された。さらにコラーゲンI型の発現と細胞層への沈着を増強させた。TGFb2は、ARPE-19細胞の細胞層欠損部の遊走を促進し、細胞層の欠損は同時に一過性にSmad3シグナルを活性化させた。マウス網膜色素上皮の器官培養でも損傷後にTGFb2を添加すると損傷周囲の上皮細胞はアルファ平滑筋アクチンを発現させたが、Smad3ノックアウトマウスの組織では観察されなかった。(2)マウス眼で水晶体と硝子体を除去後に網膜を損傷させることで網膜剥離と網膜下の増殖を誘発することができ、増殖硝子体網膜症モデルを完成させた。 その増殖組織内では網膜色素上皮細胞はSnail発現に引き続き、アルファ平滑筋アクチンとコラーゲンやルミカンなどの各種細胞外マトリックスを発現、沈着させ、網膜色素上皮細胞の上皮-間葉系移行が網膜下の増殖の原因の主体であった。さらにPDGFの発現に平行して分裂細胞が増加した。Smad3ノックアウトマウスでは、これらの変化は観察されなかった。Smad3シグナルの阻害がマウスの増殖硝子体網膜症発症を抑制することが確認できた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Saika S, et al.: "Osteopontin ; a component of matrix in capsular opacification and subcapsular cataract."Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.. 44. 1622-1628 (2003)
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[Publications] Saika S, et al.: "Response of lens epithelial cells to injury ; role of lumican in epithelial-mesenchymal transition"Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.. 44. 2095-2102 (2003)
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[Publications] Saika S, et al.: "Role of p38 MAP kinase in regulation of cell migration and proliferation healing corneal epithelium"Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.. 45. 100-109 (2004)
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[Publications] Saika S, et al.: "Smad3 signaling is required for epithelial-mesenchymal transition of lens epithelium after injury"Am.J.Pathol.. 164. 651-663 (2004)
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[Publications] Saika S, et al.: "Sonic hedgehog. Its expression and role in healing corneal epithelium"Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.. 45(in press). (2004)