2005 Fiscal Year Annual Research Report
眼部悪性腫瘍におけるトランスフォーミング成長因子の重要性とその遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
15591873
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
大西 克尚 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80037473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 由香 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50264891)
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Keywords | 眼部悪性腫瘍 / トランスフォーミング成長因子 / 遺伝子治療 / 扁平上皮癌 / XPCノックアウトマウス / ソニックヘッジホッグ / シクロパミン |
Research Abstract |
本年度は本研究の3年目で最終年度であるので研究の主眼を治療への応用においた。 ソニックヘッジホッグ(Shhと略)は胎生期の形態形成に重要な役割を果たすが、悪性腫瘍において活性化していることがわかっている。またトランスフォーミング成長因子ベータ2はShhの作用発現に必須であるとの報告もある。 そこで、Shhを標的として細胞増殖を制禦する実験を行った。まず、臨床で得られた眼部扁平上皮癌を免疫組織化学的に検査し、その細胞質に著明なShhの発現がみられ、この癌細胞の発生にShhが関与している可能性があることを証明した。また、リコンビナントShhを用い、扁平上皮癌から得た株細胞の増殖能を濃度依存的に有意に増加させることも証明した。 次に、このShhのシグナルの阻害による治療効果を検討した。Shhは細胞膜上に存在するSmoothened(Smo)とPatched(Ptc)と呼ばれる2種類の膜蛋白質で構成される受容体を介して細胞内にシグナルを伝達する。シクロパミンはShhのSmoとPtcへの結合を阻害することで、この経路を遮断する物質として知られているので、このシクロパミンを用いて実験を行った。まず、培養扁平上皮癌細胞株のリコンビナントShh添加による細胞増殖促進効果をシクロパミンが阻害することを証明した。また、野生型マウスでは腫瘍誘発効果が出にくかったので、XPCノックアウトマウスを用いて化学発癌剤(DMBA,TPA)による上眼瞼の上皮性腫瘍を誘発した。この腫瘍にシクロパミンを局部投与し、細胞増殖の低下とアポトーシスの増加を証明した。 これらの研究成果は眼部の悪性腫瘍に対する非外科的治療の可能性を示唆するものと考えた。
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Research Products
(6 results)