2003 Fiscal Year Annual Research Report
水晶体混濁の発生における水晶体上皮細胞のストレス応答および熱ショック蛋白質
Project/Area Number |
15591878
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
臼井 正彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (40074570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 潤 東京医科大学, 医学部, 助手 (90349449)
八木橋 朋彦 東京医科大学, 医学部, 助手 (20328248)
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Keywords | α-crystallin / 熱ショック蛋白質(HSP27) / 水晶体上皮細胞 / 水晶体混濁 / mRNAの発現 |
Research Abstract |
豚眼水晶体と卵白を別々に加温すると60℃で卵白は凝固を開始するが,水晶体は更なる加温で上皮細胞層より凝固が始まる.α-crystallinは約27kdの熱ショック蛋白質(HSP27)で,その熱耐性はHSPとしての機能に由来する.水晶体混濁と水晶体上皮細胞におけるα-crystallinの役割に注目し,手術で採取した水晶体上細胞におけるα-crystallin mRNAの発現性について今年は検討を試みた.その方法については,加齢性白内障7眼,対照は,若年者で硝子体手術時に水晶体を除去した4眼を対象に,白内障手術時に全嚢切開を施行して採取した前嚢をZol試薬に入れ上皮細胞のmRNAを抽出した.さらにcDNAを作製し,real time PCR(条件,syber green I使用 touch downPCR)でα-crystallin mRNA発現量(copies)を測定した. PrimerはAccesion No NM-000394を基に作製した.対照mRNAはhouse keeping遺伝子GAPDHmRNAを用い,発現量はnormalized ratio (α-crystallinmRNA/GAPDHmRNA)で判定した.その結果,加齢白内障の平均normalized ratioは133.2.対照は1032.9で両者には統計学的有意差がみられた(t-test,p=0.047). 加齢白内障ではGAPDHmRNAの発現性に比較して,α-crystallin mRNAの発現は乏しいと考えられた.水晶体上皮細胞におけるα-crystallinの発現性低下,即ちHSP機能の低下が水晶体の混濁形成に関与するものではないかと考えた.以上の要旨に関して詳細をH15年第42回日本白内障学会において報告した.
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