2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本人の白内障病型別発症率と発症・進行予測および危険因子探索
Project/Area Number |
15591880
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 洋 金沢医科大学, 医学部, 講師 (60260840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 雅司 国立環境研究所, 環境健康研究領域, 室長 (80125228)
小島 正美 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40183339)
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Keywords | 白内障 / WHO白内障分類 / 有所見率 / 疫学 / 水晶体混濁 |
Research Abstract |
石川県門前町の50歳以上の一般住民2000名を無作為に抽出し、死亡、転出、連絡不能などの214名を除く1786名を対象に行った第1回眼疫学調査について白内障の有所見率を検討した。最終的に1105名(61.7%)が検診に参加した。WHO分類でグレード1以上の皮質、核、後嚢下混濁の有病率は、それぞれ36.6、8.5、3.0%で、いずれの病型も加齢にともない有意に増加した。皮質混濁の頻度は、女性(40.0%)が男性(32.8%)に比べ有意に高値であった。核、後嚢下では男女間に有意差はなかった。CENの有所見率は、50、60、70、80歳代でそれぞれ4.2、19.9、39.8、50%であった。白内障の手術をすでに受けていた者は全対象例の3.4%で年代別では50、60、70、80歳代でそれぞれ0.5、1.7、6.1、15.2%であり、女性(4.1%)が男性(2.4%)に比して有意に高率であった。日本人(北陸地区)では皮質白内障が主病型であり、特に皮質単独混濁が多い。白内障手術受療頻度は、女性が男性の1.7倍であり、女性は手術に至る可能性が男性より高い可能性が示唆された。透明水晶体の散乱光強度と水晶体厚からlens transparency property (LTP)を算出した。これまで行ってきたシンガポールとアイスランド人との比較から、LTPは白内障有所見率が高いシンガポールで有意に高いことが明らかになった。今後2年の研究で5年での白内障病型別発症率とLTPの関連について検討する予定である。透明水晶体の加齢変化と視機能(視力、コントラスト感度)についての検討では、50歳以上では加齢による矯正視力の低下はなかったがコントラスト感度は有意に低下した。散乱光強度の増加がコントラスト感度の低下に関与している可能性があると考えられた。混濁病型とコントラスト感度の関連については検討中であるが、これまで注目されていなかったRetrodots混濁眼で有意なコントラスト感度低下が見られた。来年度は症例数を増やし、3主病型とRetrodots混濁合併のコントラスト感度への影響を検討し、混濁病型からの白内障手術適応基準についても検討する。
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