2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591892
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
池田 均 獨協医科大学, 医学部, 教授 (10326928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石丸 由紀 獨協医科大学, 医学部, 講師 (30233430)
高安 肇 獨協医科大学, 医学部, 講師 (10359614)
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Keywords | 肝芽腫 / 低出生体重児 / 酸素 / DNA酸化障害 / βカテニン / 8-OHdG |
Research Abstract |
ラット新生児肝細胞初代培養の系を用いた。培養肝細胞を低濃度酸素、高濃度酸素、さらに両方に暴露する系を確立した。これにより未熟児における低酸素(呼吸傷害)もしくは、それに対する治療としての高濃度酸素による人工呼吸管理と肝芽腫発生の関連につき検討した。すでに高濃度酸素によるDNA酸化障害を報告しており、この障害が肝芽腫臨床症例において約70%強に認められるβカテニン遺伝子の変異に関わる可能性があると考えた。さらに、臨床症例全例に認められるβカテニン蛋白の細胞核への蓄積についても検討した。βカテニンの遺伝子変異は細胞から抽出したDNAのダイレクトシークエンスを、βカテニン蛋白の細胞核への蓄積と酸化ストレスによる8-OHdGの発現については免疫染色を行って確認した。しかしながら、あらゆる暴露条件においても8-OHdGの発現は認めるもののβカテニン遺伝子の変異やβカテニン蛋白の細胞核への蓄積は認めなかった。そこで、未熟児における肝臓の未熟性を考慮し、本実験の系に胎児ラットを導入することとした。胎児ラットの肝臓細胞初代培養の系を確立した。同様に低濃度酸素、高濃度酸素への暴露実験を行い、様々な関連遺伝子(肝細胞の発生、腫瘍増殖、βカテニンを含むWntシグナルに関連するもの)の発現をmRNAレベルで検索することを計画した。胎児の系においてもβカテニンの異常は認めなかった。つまり、本実験の系においてはWntシグナル伝達系の異常は引き起こされないことが判明した。ついで本実験の系における肝芽細胞の分化(肝細胞の発生)の異常の有無を検討することとした。現時点では培養した細胞が未熟な肝細胞である肝芽細胞の性格を保持していることのmRNAレベルで確認が終了している。
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Research Products
(1 results)