2004 Fiscal Year Annual Research Report
粘膜モデルを使った炎症性腸疾患の病因・病態の基礎的研究
Project/Area Number |
15591895
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Research Institution | Hyogo college of medicine |
Principal Investigator |
澤井 利夫 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (90351808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯干 泰彦 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (10340994)
藤元 治朗 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90199373)
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Keywords | ヒト結腸癌細胞 / IL-1 / IL-6 / TNF-α / ホスホリパーゼA2 / 経粘膜電気抵抗 / 粘膜透過性 |
Research Abstract |
ヒト結腸ガン細胞(Caco2)を培養皿上に散布し培養した。粘膜モデルを培養皿上に形成した。次に、培養液のみ、IL-1入り培養液、IL-6入り培養液及びTNF-α入り培養液それぞれで培養した4つのグループを作成し、48時間及び72時間培養した。それぞれの粘膜モデルからRNAを抽出した。RT-PCRで増幅した後、Northern Blot法により細胞内のホスホリパーゼA2のmRNA発現をベータアクチンとの比で半定量した。48時間ではIL-6入り培養液グループでホスホリパーゼA2のmRNA発現が他のグループよりも有意に増加していたが、72時間ではTNF-α入り培養液グループでのみ増加していた。さらにCaco2細胞を透過性のある膜上に散布培養し、同様に粘膜モデルを作製した。各々のサイトカイン入り培養液を添加後6時間、12時間、24時間、72時間で経粘膜電気抵抗を測定した。24時間までは経粘膜電気抵抗は培養液のみのコントロールグループと比較して、IL-6入り培養液グループで有意に高値を示した。他グループはコントロールグループと同様の経過を示した。72時間後にはIL-1及びIL-6で経粘膜電気抵抗が低下した。また、同様のモデルで同様のサイトカインを添加し72時間後に培養液内のホスホリパーゼA2を測定したところ、IL-1及びIL-6で上昇が認められた。同様のモデルでIL-6入りの培養液を用い上昇したホスホリパーゼA2がリン脂質を代謝するかどうかを調べた。ホスファチジルコリンやリゾホスファチジルコリンを有意に低下させたが極軽度であった。サイトカインによりホスホリパーゼA2のmRNAの増加や培養液中の増加が認められ、粘膜透過性の増大も認められたが、リン脂質の変化は極軽度であり、リン脂質による粘膜透過性の変化は否定的と思われた。
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