2004 Fiscal Year Annual Research Report
バイオフィルム形成に伴う歯周病原因子の遺伝子発現制御
Project/Area Number |
15591932
|
Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井上 哲圭 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20223258)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新垣 隆資 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40294417)
高柴 正悟 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50226768)
苔口 進 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (10144776)
福井 一博 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70034171)
太田 寛行 茨城大学, 農学部, 教授 (80168947)
|
Keywords | バイオフィルム / 線毛 / 白血球毒素 / 菌体外多糖 / Actinobacillus / 自己凝集 / 付着 / 歯周病 |
Research Abstract |
Actinobacillus actinomycetemcomitans(Aa)のバイオフィルム形成株では、ガラス表面への付着初期において多数の線毛の産生が見られるが、成熟したバイオフィルム表面では線毛産生が抑制され、多糖体様物質の産生が示された。このことから、本菌ではバイオフィルム形成の各段階において、そのミクロな環境変化に応じて菌体間の細胞表層物質の産生が調節を受けていることが示唆された。バイオフィルム形成株ではコンゴレッド色素結合性を示したが、非形成株では示さず、また、この色素結合性は過ヨウ素酸処理により消失した。コンゴレッド色素結合性は成熟したバイオフィルムの菌体表層に観察された多糖の合成を反映し、この多糖体物質がバイオフィルム形成に密接に関わるものと推察された。Aaゲノム遺伝子解析から、コンゴレッド結合性多糖であるN-アセチルヘキソサミン含有多糖の合成遺伝子群が本菌に存在することがわかり、allelic exchange mutagenesisにより、その遺伝子破壊株を作製したが、バイオフィルム形成の明らかなレベル低下は認められなかった。さらに、N-アセチルヘキソサミニダーゼなどの糖分解酵素処理もバイオフィルム分解には至らなかったため、複数の多糖体がバイオフィルム形成に関わっている可能性も推察された。線毛欠損株の自己凝集アッセイでは、過ヨウ素酸およびDNA分解酵素により凝集阻害が見られたことから、多糖体やDNAがバイオフィルム形成における菌体間凝集に関与していることが示唆された。また、本菌の主要病原因子であるロイコトキシンの産生は、カタボライト抑制様機構に加えて、酸性pHにより促進されることが明らかになり、バイオフィルム形成過程における局所pHの低下はトキシン産生増加に働くことが示唆された。
|