2003 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル芽細胞の分化とERKに関する細胞生物学的解析
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15591934
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中村 浩彰 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50227930)
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Keywords | エナメル芽細胞 / MAP kinase / ERK / MEK / PD98059 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
本年度は、mitogen-activated protein (MAP) kinase系ERKのエナメル芽細胞における役割について明らかにする目的で、ラット下顎切歯を用いてERK、MEK局在について免疫組織化学的に検索するとともに、MAP/ERK kinase (MEK)-1阻害剤であるPD98059投与によるエナメル芽細胞の形態変化について検討した。また、生化学的にはエナメル器を可溶化したサンプルを用いてWestern blottingを行った。ERK局在はエナメル器を構成するすべての細胞に認められたが、特に移行期前後におけるエナメル芽細胞の遠心端に免疫反応の強い部位が見られた。免疫電顕的には、移行期前のエナメル芽細胞遠心端の細胞間接着装置近傍にERK局在を示す多数の金粒子が認められた。MEK1局在はエナメル芽細胞の細胞質内にdiffuseに見られるほか、移行期の近心、遠心端に強く認められた。抗pan ERK抗体を用いたWestern blottingにより44、42kDの陽性バンドが認められた。また、抗MEK抗体により45kD付近にMEK1,2に相当するバンドが認められた。PD98059投与により、1,3時間には分化期、基質形成期、移行期、成熟期すべてのステージにおいてほとんど形態異常は認められなかったが、6時間後になるとエナメル芽細胞の形態学的変化は主として移行期において顕著に認められ、エナメル芽細胞層は不規則になり、核濃縮を示す細胞死像が多数見られた。形成期においては粗面小胞体が膨化傾向を示すものの、成熟期のRA, SAには異常は見られなかった。ERKは増殖、分化、アポトーシスに関連することが指摘されており、エナメル芽細胞の分化過程において、ERKは移行期におけるエナメル芽細胞のアポトーシス、形態変化に重要な役割を担っていることが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Nakamura, H. et al.: "The role of osteoclast extracellular signal-regulated kinase (ERK) in cell survival and maintenance of cell-polarity"J.Bone Miner.Res.. 18(7). 1198-1205 (2003)
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[Publications] Nakamura, H. et al.: "Immunolocalization of matrix metalloproteinase (MMP)-13 on bone surface under osteoclasts in rat tibia"Bone. 34(1). 48-56 (2004)
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[Publications] 中村浩彰 他: "骨芽細胞と破骨細胞の相互作用"CLINICAL CALCIUM. 13(4). 438-443 (2003)
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[Publications] 中村浩彰 他: "骨組織のMMP-13局在に関する免疫組織化学的研究"Acta Anatomica Nipponica. 78. 189 (2003)
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[Publications] 中村浩彰 他: "エルカトニンによる破骨細胞の細胞骨格変化"歯基礎誌. 45. 134 (2003)