2004 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル芽細胞の分化とERKに関する細胞生物学的解析
Project/Area Number |
15591934
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
中村 浩彰 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50227930)
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Keywords | ERK / エナメル芽細胞 / 細胞内情報伝達 / アポトーシス / EGF / CD44 |
Research Abstract |
本年度は、extracellular signal-regulated kinase(ERK)、アポトーシス関連タンパク質および細胞内情報伝達分子に注目し、エナメル芽細胞の分化機構について解析を行った。Cleaved caspase 3に対する抗体により、移行期エナメル芽細胞に陽性反応が認められ、そのアポトーシスにはcaspase 3の活性化が関与していることが明らかとなった。また、エナメル芽細胞分化における核内転写因子について明らかにするために、Sp(Specificity protein)ファミリーとNF-κBシグナル関連分子についても検討を加えた。これらの転写因子の局在は、エナメル芽細胞分化と密接な関連を示し、エナメル芽細胞の分化制御機構にはMAP kinaseのほかにも、いくつかの細胞内情報伝達系が関与していることが示唆された。EGFレセプターに対する免疫組織化学的検索により、成熟期エナメル芽細胞および乳頭層細胞の細胞膜に、その局在が認められた。免疫沈降法によりCD44との関連を検討したが、両者の関連性は低いものと思われた。前年度のMAP/ERK kinase(MEK)-1阻害剤であるPD98059のin vivo投与実験に準じて、切歯の器官培養系での検討を試みた。しかしながら、培養条件の設定が難しく、薬剤効果を検討するに十分な器官培養系を確立することはできなかった。以上の結果から、エナメル芽細胞分化において、ERKは移行期エナメル芽細胞において重要な役割を担っていることが明らかとなった。さらに、エナメル芽細胞の分化制御機構には、ERKに加え、いくつかの細胞内情報伝達系や核内転写調節因子が関与していることが示唆された。
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Research Products
(6 results)