2004 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞の腫瘍形成におけるHP1のエピジェネティックスの解析
Project/Area Number |
15591937
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清島 保 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (20264054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 英隆 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (80136499)
松尾 拡 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (70238971)
小林 家吉 九州大学, 大学院・歯学研究院, 講師 (40243951)
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Keywords | 癌 / 腫瘍形成 / 転写制御 / ヘテロクロマチン / エピジェネティックス / 細胞形質 / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
腫瘍細胞間でcDNA subtraction法により差異的発現がみられたHP1を研究対象とし、癌細胞の腫瘍形成におけるHP1のエピジェネティック機能の解明を行なっている。この蛋白はヘテロクロマチン形成や染色体の不活性化領域への関与がいわれ、ヒトでは3つのisoformがある。 まず、腫瘍細胞株間でHP1 mRNAの発現量を比較すると、isoformによる特徴がみられたことから、過剰発現系、部分欠失蛋白発現系および発現抑制系を用いてHP1 isoformの変動による腫瘍細胞の形質変化への影響を検索した。過剰発現系では、増殖能、腫瘍形成能等に抑制的変化を見た。しかし、その変化は差異的発現をみたisoformの過剰発現させた場合であった。また、そのisoformの部分欠失蛋白発現系では、増殖能、腫瘍形成能等に促進的変化をみた。これらは、差異的発現をみたHp1 isoformが増殖能、腫瘍形成能へ影響を示すと考えられる。一方、抑制系は持続的RNAi効果によるknockdown cellの作成が終えていないため、引き続き試みる。 また"HP1により影響される蛋白の同定と機能の解析"として、上記の腫瘍細胞間で差異的発現を見た遺伝子群に含まれていたSquamous cell carcinoma antigen(SCCA)との関連を検索した。この蛋白は血清腫瘍マーカーとして見なされ、これには塩基配列、アミノ酸配列で90%以上の相同性を示すが、機能の異なるSCCA1とSCCA2が存在する。このSCCAの腫瘍細胞の形質への影響の解析した処、腫瘍細胞のSCCA1とSCCA2の発現が、TNF-αによる細胞死誘導に抵抗性を高め、そこにミトコンドリアからのシトクロームc放出抑制が関与することを明らかにした(Tumor Biology in press)。この蛋白発現とHP1 isoformとの関連については検討中である。
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Research Products
(1 results)