2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591941
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
後藤 哲哉 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (70253458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 輝男 九州大学, 歯学研究院, 教授 (60077667)
木尾 哲朗 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (10205437)
小林 繁 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (10118078)
戸苅 彰史 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (80126325)
城戸 瑞穂 九州大学, 歯学研究院, 助教授 (60253457)
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Keywords | サブスタンスP / 滑膜線維芽細胞 / neurokinin-1 receptor / 関節炎 / 破骨細胞 / RANKL / 神経ペプチド / 知覚神経 |
Research Abstract |
歯科臨床において矯正治療時に鈍い痛みが持続する時は良く歯が移動することや、関節炎で痛みが続くと骨変形が生じることは経験的に知られている。膝関節や顎関節の慢性関節炎ではしばしば痛みと骨破壊を伴うが、痛みと骨破壊の関係はよくわかっていない。この研究では痛みに関係する感覚神経終末から放出される神経ペプチドであるサブスタンスPが滑膜の線維芽細胞を介したラット破骨細胞の形成にどのような影響があるかを調べた。サブスタンスPの滑膜線維芽細胞の増殖に対する影響はMTT assayで調べた。サブスタンスPの滑膜線維芽細胞におけるreceptor activator nuclear factor kappa B ligand (RANKL)の発現はRT-PCRもしくは免疫蛍光染色にて調べた。その結果、免疫組織化学では滑膜線維芽細胞にサブスタンスPのレセプターであるneurokinin-1 receptor (NK_1-R)陽性反応が見られた。10^<-6>〜10^<-10>molのSPの添加は滑膜線維芽細胞数を対照群に比べ有為に増加させた。SP拮抗剤とNK_1-R拮抗剤の添加によりSPによる滑膜線維芽細胞数の増加が抑制された。RT-PCRと免疫蛍光染色により対照群では見られなかった滑膜線維芽細胞におけるRANKLの発現がSPの添加により認められた。これらの結果はSPが滑膜線維芽細胞の増殖を促進し、破骨細胞形成に必須のRANKLの発現を増加させることが明かとなった。これにより慢性関節炎の時に分泌されるSPは滑膜の肥厚と滑膜におけるRANKL発現を上昇させることによって破骨細胞形成を増加させていることが示唆された。つまり、関節において痛みが持続すると関節腔内にSPが分泌され、SPによって関節滑膜の肥厚と滑膜上での破骨細胞形成の両方が促進され骨破壊を生じる可能性があることが示された。
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