2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591943
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
武田 正子 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40001953)
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Keywords | 味蕾 / 神経栄養因子 / GDNF / GFRα1 / gustducin / 神経切断 / 蛍光抗体法 / 二重免疫染色 |
Research Abstract |
味覚障害の治療法開発のために、味蕾細胞の増殖、分化、維持に働く栄養因子の解明を試みた。神経細胞に対して増殖や生存維持に働く神経栄養因子(neurotrophic factor)のうちのGDNF (glial cell-line derived neurotrophic factor)とそのレセプターであるGFRα1とRetについて、味蕾細胞に発現するかどうか、4つの型に分類されている味蕾細胞のうちのどの細胞型に発現するか、特に神経と求心性シナプスを形成するIII型,細胞に発現するかどうかなどを調べた。材料には、成熟雌雄ddYマウスの有郭乳頭味蕾を用いた。 (1)GDNF、GFRα1、Retについて蛍光抗体法を行った。GDNFは細長く伸びる味蕾細胞の一部の胞体に発現した。陽性細胞の割合は全味蕾細胞のうちの32%を占めた。GFRα1は味蕾細胞の大部分83%に発現した。しかし、Retは全く発現しなかった。 (2)GDNFまたはGFRα1と既知のタンパク質との二重染色を行い、共焦点レーザー走査顕微鏡により観察した。NCAM (neural cell adhesion molecule)はIII型細胞に、PGP9.5 (protein-gene product)はIII型と一部のII型細胞に、gustducinは一部のII型細胞に発現することがすでに報告されている。結果は、GDNF免疫陽性細胞はすべて、PGP9.5、NCAMのどちらにも免疫陽性ではなかったが、II型のgustducinには陽性であった。GFRα1免疫陽性細胞はNCAM、PGP9.5およびgustducinにそれぞれ陽性であり、II型及びIII型、さらにおそらく一部のI型細胞を含んでいた。 (3)有郭乳頭味蕾の支配神経である舌咽神経を左右両側とも切断し、味蕾の変性、及び再生過程におけるGDNFとGFRα1の発現の変化を蛍光抗体法で調べた。神経切断後10日まで味蕾の数は減少するが、残存する味蕾にはGDNFとGFRα1陽性細胞が見られた。味蕾はいったん全部消失した後、4週になると再生し、再びGDNFとGFRα1陽性細胞が発現した。 (4)以上より、味蕾のII型細胞におけるGDNFは、GFRα1レセプターを介してI、II、III型細胞に栄養作用を及ぼすものと推測される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Uchida N, Kanagawa M, Suzuki Y, Takeda M: "Expression of BDNF and TrkB in mouse taste buds after denervation and in circumvallate papillae during development"Arch.Histol.Cytol.. 66・1. 17-25 (2003)